秋は祭りの多い季節。イベントでプロレスが行われる事も少なくはないが、「プロレスで社会貢献」を掲げるプロレスリングHEAT-UPほど、そのコンセプトにマッチしている団体は稀では無かろうか。
今秋は週末ごとに無料で熱い戦いを提供している。21日には特別養護老人ホーム「かないばら苑」で開催。秋空の下リングサイドに置かれたイスはあっという間に埋まり、期待の高さを感じさせた。リング上で繰り広げられた白熱したファイトに、高齢の入居者さん達も身を乗り出して観戦。試合後、クルマ椅子のおじいちゃん、おばあちゃん達は、試合を終えたばかりのレスラーと個別に記念写真を撮るなど触れ合い、満面の笑みをこぼしていた。チャンピオンベルトを手にしながら交流した兼平大介選手は「人生の先輩方に元気のおすそ分けをしようと思って来ましたが、熱い激励を頂いて逆にこちらが元気を頂きました」と、こちらも満足げな笑顔を見せていた。
28日には児童養護施設「白山愛児園」でも開催され、先週とは一転、大勢のちびっ子達の前でファイト。一進一退の攻防に、元気溌剌の子ども達は大興奮だった。試合後には綱引き大会を行い、レスラーと子ども達がリング上で対戦。最後はリングの外でレスラー4人と子ども達で戦い、子ども達が勝利。屈託の無いいっぱいの笑顔が弾けた。その後もサインや写真撮影などで交流を深め、18歳のレスラー井土徹也は「子ども達の純粋な声援に勇気をもらいました。僕も自然と笑顔になれました」と、楽しげに振り返っていた。
ちなみに2日間共に、31日にとどろきアリーナで行われるビッグマッチのメインイベント、チャンピオン・兼平大介対挑戦者・井土徹也のタイトルマッチの前哨戦とあって、チャリティーとは思えないバチバチの戦いを見せたことも、盛り上がりの一因であろう。
☆社会への貢献
これらの他にも「障害者福祉・青少年育成」にも力を入れており、一部の興行では障害者をスタッフとして雇用し、健常者と同じ賃金を支払うなどの活動にも取り組んでいる。また、小学校でプロレス教室を開催し、こども達の健全な心と身体の育成にも力を入れている。田村和宏代表は「チャリティーなど、このような活動の輪をどんどん拡げ、プロレスを通じて元気と勇気を伝えて行きたい」と、抱負を語る。今後も街を、人を“HEAT-UP“させるような戦いに要注目だ。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘