しかし、「美味しいコーヒーが飲みたい」「自分好みの味を出したい」という思いで自家焙煎をしてみたとしても、理想の味を出すのは難しい。そんな思いを持つ人にとって、最近、仕入れた生豆を客の注文に応じて、小型の焙煎機で仕上げてくれる自家焙煎店が増えてきているのは嬉しいことだ。
ところで、この焙煎の際には「ハンドピック」という作業が不可欠である。いわゆる欠点豆を手作業で選り分ける作業なのだが、モノが植物だけに、欠点豆以外も虫の混入は避けられない。治安の悪い某国からの生豆には、銃弾が混入しているという物騒な話も耳にする。個人経営の自家焙煎店では、このハンドピックという作業を丁寧にしているのだが、商品を大量に扱う大手業者、特に薄利多売を謳い、なぜこんなにも安くできるのかと不思議に思ってしまうような業者は、ハンドピックをせずに、欠点豆も異物も混ざった状態で一気に焙煎しているという。消費者は安い値段に甘んじ、虫入りのコーヒーを味わっているというわけだ。
とはいっても、コーヒーの果実を食べたジャコウネコの糞から精製された「コピ・ルアク」というコーヒーは有名で、虫どころの話ではない。しかも、こちらは稀少なので高価なのだ。それに、コーヒーの焙煎には、約200〜300度で10〜20分の加熱を要する。そう考えれば、殺菌効果は期待でき、虫入りくらい大したことではないのかもしれない。ただし、コピ・ルアクも味の方は賛否が分かれることは記しておこう。
(七海かりん 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou