「巨人の王さんと長嶋さんのように、強いチームには軸がある。中田ともう一人、軸が欲しい」
これは去る12月17日、優勝旅行先のハワイから帰国した際、栗山監督が語ったもの。来年のドラフト戦略について触れ、競合覚悟で早実・清宮幸太郎を獲りに行くと話したのだ。清宮指名を本気で進めるのなら、陽岱鋼のFA移籍で空き番号となった「1」を残しておくべきだが…。
「来季、斎藤が一軍戦力として活躍できるかと聞かれれば、悲観的にならざるを得ません。そのことは栗山監督がいちばんよく分かっているはず。斎藤の背番号変更は『球団の意向』と見るべきです」(ベテラン記者)
一部報道によれば、田中将大(28=ヤンキース)と投げ合った2006年夏の甲子園と同じ背番号と“前向き”に伝えていた。
しかし、プロ野球では基本的に1ケタ台の背番号は「野手番号」である。このことを指して、こんな見方もできる。斎藤は4年連続のダウン提示で契約を更新した。昨年選手会が発表した一軍平均年俸額は約2300万円。斎藤は平均以下の2000万円であり、これは他球団に向けた「トレード放出OK」のシグナルともされていた。これには、斎藤に対する同情的な声も寄せられていたという。背番号を昇格させることで、球団は「彼を見放していない、まだ期待しているんだ」と、ファンに向けメッセージを送ったのかもしれない。
「今オフの契約更改で、日本ハムは大谷(翔平=22)とメジャー挑戦の時期を話し合ったことを認めています。中田(翔=27)もメジャー志望が強いとされ、同時に好不調の波が激しいため、FA権を行使した場合、球団は引き止めないとの見方がされています。順調に行けば、中田は来季、国内FA権を取得します」(プロ野球解説者)
来年オフ、大谷のポスティングシステムでのメジャー挑戦が確実視されている。中田の今後も考えると、17年オフは日本ハムに激震が走るかもしれない。そう考えると、栗山監督の「清宮指名宣言」にも合点が行く。
「根強い斎藤ファンがいることも事実です。もし本当に、中田と大谷を同時に喪失することになれば、斎藤の知名度は無視できなくなります」(前出・ベテラン記者)
斎藤は契約更改の席上で自らエース背番号「18」の返上を申し出たともいう。穿った見方かもしれないが、背番号「1」を与えた今なら、仮にどこかの球団が「斎藤をくれ!」と正式にトレードを申し込んできたとしても、日本ハムは彼の復活を信じていたという図式は保てる。