「悔しい気持ちです。先発で勝つことが出来なくて、その時から悔しい思いをしていました」
「今シーズンを振り返って」の質問にそう答えている。「クビにならないだけマシ」「2000万円はもらいすぎ」、そんな厳しい声も聞かれたが、この4年連続となるダウン提示には“球界の隠語”が秘められていたようだ。
「日本ハム球団には『慣例』があるんです。トレード放出する選手にダウン提示をし、相手球団が獲得しやすくするという…」(プロ野球解説者)
その典型例とされるのが、2002年に下柳剛を阪神に放出したトレードだという。
当時の日本ハムフロントは同年不振に終わった下柳に「75パーセントダウン」を提示。受け入れられないとする下柳に対し、追い打ちを掛けるように「阪神からのトレード打診」を告げた。ダウン提示した金額なら、阪神側はこのトレードをまとめたいと…。
トレードは年俸が釣り合った選手同士でまとめられるケースが多い。日本ハムの看板選手、主力選手、功労者がダウン提示を受け、そこに「大幅」「何年連続」といったマクラが付いた場合、他11球団は「トレードに出してもいい」のシグナルが送られたと解釈しているそうだ。また近年、日本ハムから放出された選手は、そのほとんどが前年の契約更改でダウン提示を受けている。
スーパーの生鮮食品売り場が閉店時間ギリギリに値引きシールを貼るのと似ているが…。
斎藤はプロ2年目の契約更改で500万円増額の3500万円を勝ち取ったが、その後はズルズルと落ち、前年は2300万円だった。復活に疑問視が付けられて久しいが、「2000万円まで値引きされた」のなら、トレードを検討する球団も現れるのではないだろうか。
「ひと足先にまとまった巨人との複数トレードですが、巨人側は交換リストに斎藤の名前があると期待していたとの情報も聞かれます。実際に巨人は先発要員が少ないし、阪神も先発投手の補強は今のところドラフトだけです」(前出・同)
斎藤は会見でこうも語っていた。「与えられた場所で精一杯やるだけです」と。先発投手としての再起を目指していたが、これからは中継ぎでもなんでもやってチームに貢献していきたいと言ったのだが、水面下でのトレード打診を聞かされていたとすれば、その意味合いは違ってくる。FAでローテーション投手を喪失したDeNA、埼玉西武の出方も気になる。
日本ハムは「4番中田と二刀流・大谷」のチームとなり、3年目で新人王を獲得した高梨裕稔も先発ローテーションに定着した。救援陣の頭数も揃っている。斎藤にとっては気の休まらないオフになりそうだ。(一部敬称略)