遠藤ミチロウといえば、言わずと知れたパンクロックの雄「スターリン」のフロントマン。しかし30年ほど前にビデオ監督の経験がある(3作品制作)関係もあり、このイベントのオファーを引き受けたそうだ。なので最初の曲は、そのビデオ用に制作した「電動コケシ」。過激な歌詞を朗々と歌い上げる。ボブ・ディランの「ノッキンオンヘブンズドア」に続いては、パンク版ではない「仰げば尊し」など計4曲を歌い上げた。
暗転後、上映が始まるのだが、ついさっきまで歌っていた「仰げば尊し」の鼻歌がスクリーンに流れる。にくい演出だ。そこでやっと、きょう遠藤ミチロウがライブ演奏した意味が分かる。
むさぼるシリーズ第13弾本編は、身内もなく孤独に暮らす痴呆老人が死を悟ったとき、その恐怖の矛先が弱者へ向かい、自分の身の回りの世話をしてくれていた若いホームヘルパーに向かっていく。老人は、女性を監禁してバイアグラを使いコトを成し遂げ、その様子を死までの1か月にわたってビデオカメラに記録していく。性的な力を無くしたが為の性的な力を妄信する老人と、むさぼられる女が残した記録とは。孤独死が社会問題になる中、考えさせられる作品だ。
本編終了後は、監督と男優の安大吉、遠藤ミチロウらによる舞台挨拶のあと、観客との懇親会となった。主演「大堀香奈」は、昨年で引退のため、ビデオ出演となった。月イチで行われる桃太郎映像出版のこのイベント、次回の第14弾も4月8日(月)に同所で行われる予定だ。ゲストには添削家・赤ペン瀧川先生。このイベントをどんな切り口で添削してくれるのだろうか。開催やチケットの予約(e+チケットでも予約可能)など詳細は、公式ホームページで発表される。
■桃太郎映像出版公式HP http://www.indies-av.co.jp/