バリバリの現役アイドルとブサイク(BUSAIKU)というミスマッチ。これには、彼らが味わった辛酸の歴史がある。11年の歌手デビュー後、彼らを検索エンジンにかけると、「ジャニーズなのにブサイク」という酷評が渦巻いた。苦労の末にようやく手に入れたチャンスだっただけに、20代の彼らは深く傷ついた。
ところが、それを逆手に取ったのが、当時SMAPやキスマイを担当していた凄腕マネージャーの飯島氏。SMAP解散の引き金となった、あの女性である。彼女は、担当タレントのマイナス要素やスキャンダルを肥やしにして、話題と視聴率をかっさらうことで有名な有能フィクサー。そこで、ブサイクを漢字表記の「舞祭組」にしてユニット化して、メンバー格差に悩んでいた宮田俊哉、千賀健永、横尾渉、二階堂高嗣をバックアップ。SMAPだった中居正広がプロデュースして、シングルCDは3曲も作詞。PVにも出演した。これが見事にヒットし、ブサイクのキーワードで番組、派生ユニット、キスマイまで潤った。
ちなみに、この飯島氏、現在は、ジャニーズ事務所を退所した稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が身を預ける株式会社CULENの代表取締役である。
“超BUSAIKU!?”は、アイドルが避けたいテーマばかりだ。マッサージ中の足にキス、終電を逃した女性の誘い方、「キスしてくれないと帰らない!」と言い張る女性への対応、宅飲みで皆が寝ている隙にキス、キュンとくるいじわるなキス、年下の彼女へする大人なカッコいいキス、再会した元カノに酔った勢いでキスほか。とにかく、キスが多い。もちろん、ほんとうにするわけはなく、彼女役のマイコの頭をグイッと引き寄せて唇を重ねるシーンは、背後からなどのカメラアングルで、しているように見せる。しかし、そこに行き着くまでがベッドの上であったり、女性の生足のドアップであったり。ついには、メンバーイチの人気である玉森裕太がソファに座っていると、おもむろに女性が両足を広げて膝の上に乗り、対面座位の体勢に……なんてことも。国民的アイドルの嵐、ガテン系のTOKIO、アーティスト性が高いKinKi Kidsなら間違いなく事務所NGであることも、“ブサイク”スタートのキスマイだからOKなのだ。
これが、キスマイの強み。飯島氏の置き土産的な深夜番組には、逆境を楽しむSMAP魂が宿っているのだ。