メモリアルイヤーは、下半期においても怒濤のラインナップが控える。読売ジャイアンツ、東京スカイツリーとのコラボ、8月から5か月連続で新曲が配信、8月にスタジアムライブ(8月4&5両日/千葉・ZOZOマリンスタジアム)ほか。9月24日に幕が上がる主演ミュージカル『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』(千葉・舞浜アンフィシアター)では、4人体制後初の本格的舞台に挑むことが、東京ドーム公演(23日)で発表された。
歌とダンスを武器にしたアイドルとしてはもちろん、バラエティやコントにも全力投球、女優としての歩みも止めない4人。めざすは、SMAP(解散)や嵐のような老若男女から支持されるスーパーマルチタレントだが、メンバー全員がそろうレギュラー番組は現在、『ももクロChan』(テレビ朝日系)の1本だけだ。
同番組はももクロ人気が爆発する6人体制のころに、ネット配信でスタートしたとあって、信頼と実績は抜群。制作陣営がももクロと友好関係を築き、視聴率よりも全力で楽しむことを主眼としているため、暴言もあり、芸人さながらのムチャぶりもあり、上から目線もある。ももクロは、逆境を着火剤にして進化を遂げてきたアイドル。その本質を見抜いているスタッフは、彼女たちの素をあぶり出すことによって、奇想天外の笑いを何度も量産してきた。
人気コーナーはたくさん生まれた。「大喜料理」では、有安が放送コードギリギリではないかと思えるようなグロテスクな珍料理を仕上げてきた。食べ歩き企画の「こってりパトロール」では、どんなに満腹でも決して表情に出さない佐々木彩夏がプロアイドルぶりを貫いている。「ペンタゴンダービー」では、リーダーの百田夏菜子の残念な知識量が丸裸にさらされた。「ぶらり高城れに」では、高城れにが自分がカメラに映る時間が長いことを素人のように喜んでいる。ももクロのスーパーサブ的役割を担っている玉井詩織は、随所で博学な一面を見せつつ、司会業もこなす。
火曜深夜2時21分スタートというコアな時間帯に、エロや下ネタといったアダルト要素を排除、暴露というスキャンダルもゼロのまま、放送5周年を突破したのは、ある意味奇跡。彼女たちの根底に流れる芸人気質と、深夜枠という適温のまさかの合致。選択の6人が奇跡の5人となり、未来を創る4人となった今のももクロを知るには、脱力系笑いも必要不可欠なのだ。