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G救世主・朝井を巡る阪神との小競り合い

 巨人移籍後初登板の朝井秀樹投手(26)が『初勝利』を上げた(8月8日=対広島戦)。朝井は2008年こそ9勝をマークしたが、翌09年は不振に陥り、二軍に沈んでいた。まさに「巨人で生き返った」かっこうだが、他球団の評価は違う…。「予想通りだよ」−−。トレード期限ギリギリで決まった今回の巨人入りには“ウラ”がありそうだ。
 ライバル球団のスコアラーがこう言う。

 「朝井は絶対にヤルと思ったね…。実は昨年オフの時点で、朝井を欲しいと(交換トレードを)申し出たセ・リーグ球団は巨人だけではなかったんです」
 不振に陥った09年、当時の楽天指揮官だった野村克也監督は、その不甲斐なさに「ブン殴ってやりたい!」とボヤいたほど。マーティ・ブラウン監督の新体制からも漏れ、朝井は再起の好機にも恵まれないでいた。
 「朝井の獲得にいちばん熱心だったのは、阪神でした。今年のシーズンが始まってからも、それ相応の交換要員を挙げ、楽天側にトレードを再打診していました」(前出・同)
 漏れ伝わってくる限りでは、阪神は岩田、能見の両ローテーション投手を故障で失い、「是が非でも欲しい」とシーズン中にもアプローチを掛けていたという。関係者によれば、「関本か、林を出していい」とまで楽天側に伝えたそうだ。
 阪神が『朝井獲得』の再アプローチを行ったのは6月上旬。この時点で、原巨人は朝井のトレードを静観していたという。

 「今季不振のゴンザレスの復調を最後まで信じていたみたい。現有戦力でどうにかなるのなら、そうしたいというのが原監督の意向でしたから」(球界関係者)
 先発投手のコマ不足は否めず、またストッパー・クルーンの戦線離脱も大きかった。朝井放出の動きを一気に変えたのは、こうした台所事情の苦しさもあるが、それだけではない。朝井の放出先が阪神と分かり、「ライバルを利する交換トレードを見過ごすわけには行かない」と思ったからだ。また、巨人がその交換要員として、栂野雅史投手(25)を挙げたのにも『理由』があった。
 「横浜の尾花監督が栂野を欲しがっていたんです。横浜指揮官に就任した昨年オフに逆上れば、尾花監督は巨人でくすぶっている『余剰戦力』に強い関心を抱いていました。木佐貫、栂野、野間口に赤マルを付け、木佐貫獲得の正式なオファーも送っていました」(在京球団関係者)
 原辰徳監督は巨人の内部事情を知る尾花監督を利するトレードだけは成立させたくなかった。巨人職員も同様で、「木佐貫洋をオリックスに放出したのは、横浜からの交換トレードを潰すためだった」とも言われている。
 「栂野は変化球、コントロール、直球の威力において、『オール70点』タイプです。特徴のない投手ではありますが、尾花監督は巨人コーチ時代からその潜在能力を買っていました。横浜も最下位に沈み、苦しい状況が続いており、シーズン開幕後、栂野再獲得のトレードを巨人に申し込んだと聞いています」(前出・同)

 そんな栂野と、阪神が名前を挙げたとされる関本、林を、楽天側は天秤に掛け、巨人との商談を選んだのだろう。「ローテーション入りできる」と、セ・リーグ全球団が太鼓判を押した朝井を放出する楽天の判断もちょっとヘンだが、“人間感情”がもつれた駆け引きで、得をしたのはやはり原巨人のようである。
 こんな情報も交錯している。
 「今オフ、パ在京球団のアンダースロー投手がトレード市場の目玉になります。近年、パ対戦5球団に特徴を覚えられたためで、所属球団も『環境を変えてやるべき』と判断しています。巨人はその球団が求めている『第2捕手』を交換要員に挙げ、一気にアンダースロー投手を獲得するかもしれない。いや、阪神がリベンジで…」(同)
 優勝戦線に絡んでいないセ・リーグ球団の関係者は“予想通りに”朝井が好投したのを受け、『終戦』を示唆していた。ライバル阪神との番外編、尾花横浜との隔たり…。トレードの舞台裏は複雑な人間感情が絡み合っているようである。

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