報道によると、大島が負傷したのは6月6日ソフトバンク戦の試合中。8回表、フェンス直撃の当たりを放った大島は、打球が転がる間に本塁に突入するも間一髪でタッチアウト。このプレーの際に肋骨を骨折し、その後約1カ月痛みとの戦いが続いたという。
肋骨骨折といえば、今年2月に広島・中村奨成が見舞われ、その後実戦復帰までに約4カ月を要したほどの怪我。しかし、大島は冒頭の通り出場を続け、負傷した6月、そしてそれ以降の月も全て月間打率3割以上をマーク。その上、ここまでにリーグトップの173安打を放ち、自身初の打撃タイトル獲得も濃厚な状況となっている。
今回の一件を受け、ネット上のファンからは「プロとしての意識が高すぎる」、「骨折してこの成績ってすごすぎん?」、「痛みに耐えて頑張ってくれて、本当に頭が下がります」といった驚嘆の声が続出。
しかし、その一方で「強行出場してよかったとは全く思えない」、「大島骨折ならおとなしく休めよ、尾を引いたらどうするつもりだったんだ」、「ストップかけられなかった与田監督は反省してほしい」、「与田監督がビシッと言えば大島も素直に休んだんじゃないの?」などと、本人や首脳陣の判断に疑問を呈するコメントも少なからず寄せられている。
予期せぬアクシデントに見舞われた今シーズンの大島だが、実は2016年(右手薬指)、2017年(右足腓骨)、2018年(左手首)と3年連続でそれぞれ異なる箇所を骨折。ただ、シーズン終了に追い込まれた2017年を除く2年は、怪我直後に一時打率を落としたものの出場自体は継続している。こうした前例もあり、大島が「出場に支障はない」と判断した可能性は否定できない。
また、大島が負傷した6月6日終了時点のチームは首位と10.5ゲーム差の5位と苦戦しており、平田良介、福田永将といった主力打者も怪我で離脱中。台所事情が苦しかっただけに、首脳陣もなかなか大島に「休め」とは言い切れなかったのかもしれない。
負傷後もバットが湿らなかったことから、美談のように捉えるファンも少なくない今回の一件。ただ、大島個人の今後の野球人生、そして来季以降のチーム構想に影響が出るかもしれないリスクを考えると、無理をしない選択肢もあったのかもしれない。
文 / 柴田雅人