事の発端となったのは、ある巨人ファンが24日午前0時半過ぎにツイッター上に投稿したツイート。そのツイートには「阿部引退マジか」といった旨の文面と共に、阿部の引退を一面で伝える某スポーツ紙を収めた画像が添付されていた。
この巨人ファンはその後のツイートで、画像のスポーツ紙が24日の朝刊であることや、自身が新聞配達員であることを告白。また、画像をツイッター上に投稿した理由については、「出勤の際に一面を見て驚いたから」といった旨の釈明をしている。
一配達員によるまさかのフライング発表に、ツイッター上では「何考えてんだこのバカ配達員は」、「一配達員が情報漏らすとか大問題だろ」、「阿部の引退をこんな形で知りたくなかった」、「阿部の決断を踏みにじりやがって、絶対に許さん」といった批判が噴出。
また、「この配達員はどう責任取るつもりなのか」、「会社に特定されたら人生終わりだろうな」、「処分どうなるんだろう、賠償金とかすごそう」などと、配達員の責任に言及するコメントも数多く見受けられた。
球団・選手に関わる重大な情報が、フライング発表された事例は過去にも存在する。例えば、今月13日には、一部スポーツ紙が阪神・メッセンジャーの引退を伝える記事を自社のWEBサイト上で出すもすぐに削除。その後翌14日に球団公式サイト上で引退が正式発表されたため、当該記事の削除理由は配信時間のミスによるものと推測されるが、ネット上では困惑の声が相次いでいた。
また、2018年10月3日には、一部WEBメディアが巨人・高橋由伸監督(当時)の辞任を午後5時過ぎに発表するもすぐに削除。こちらもその後、午後9時前に正式報道が出されたため、当該メディアが配信のタイミングを間違えたことが削除の理由と思われるが、それまでは「誤報なのかフライングなのかどっちなのか」といった声も多かった。
一方、球団や報道機関ではなく、選手の方がフライング発表した事例も存在する。2018年10月2日午後1時、阪神・西岡剛(当時/現BCリーグ・栃木)が自身のインスタグラム上で「今シーズンをもちまして阪神タイガースのユニフォームを脱ぐことになりました」と球団から戦力外通告を受けたことを公表。ただ、午後5時の球団発表より4時間も早い公表だったため、「球団の発表ぐらい待てないのか」、「こういうことする奴は信用されないぞ」といった厳しい声が寄せられていた。
発生するたびに物議を醸している球界のフライング発表。予期せぬ事態につながるリスクを考慮すると、各関係者には改めて情報管理の徹底が求められているといえそうだ。
文 / 柴田雅人