芝東照宮は、家光の祖父であり、大河ドラマ『江〜姫たちの戦国』で話題となっている江の義父・徳川家康を神格化してまつっている。豊臣家を滅ぼした大坂夏の陣の2年後・元和3年(1617年)の創建だが、昭和20年(1945年)の戦災でほぼ焼失。現在の社殿は再建されたもの。
芝東照宮のそばには、台徳院霊廟惣門(だいとくいんれいびょうそうもん)がある。台徳院とは江の夫・2代将軍秀忠のこと。惣門は、秀忠廟の表門で、空襲での焼失を免れた。秀忠廟には江の霊牌所も造営されていた。
芝東照宮や台徳院霊廟惣門がある芝公園から東京タワーを超えて歩くと、参道の階段が見える高台の上に、西久保八幡神社がある。西久保八幡神社は、寛弘年間(1004〜1012)に京都・石清水八幡宮から分霊され、江戸の開祖といわれる太田道灌の江戸城築城に際し、現在の地に遷されたと伝わる。
また、西久保八幡神社は、関ケ原の戦いの折、江が秀忠・家康の戦勝と安全を祈願した神社として知られている。江は、祈願成就を受け社殿を造営するように書き残し、江の遺志により、家光が社殿とその他の建物を建立したという。
西久保八幡神社がある周辺は、都心にもかかわらず静かな一画だった。西久保八幡神社の裏手には、江の葬列が通ったとも、江の火葬場が設けられたともいわれる我善坊谷(がぜんぼうだに)という地名が残っている。(竹内みちまろ)