晴天や穏やかな天気の時に現れ、雲よりも低い所に突如発生するリング状の物体。材質としては雲に似ているのだが、いつの間にか中空に現れ、しばらくすると消えてしまうといった特徴がある。その姿はさながら天使の輪や煙草の煙でうまく作り出した輪のようにも見える。しかし、煙草の煙で出来た輪はそれほど大きくもないし、出来てもすぐに消えてしまうが、この輪は非常に大きく、停滞している時間も長い。さて、このリングは何なのだろうか?
実際にはこのリングは自然現象の一つであり、大気中の温度と大きな差がある気体が立ち昇ることで気流の流れが生じて形成されるものだとされている。地上で何らかの爆発や煙突からの煙、ヘリコプターのローターによる空気の撹拌(かくはん)で生じる事もあるという。
記事の写真は1957年9月に、アメリカのバージニア州フォートベルモアにて撮影された「リング状UFO」だ。撮影したのは民兵の1人だったが、証言によればこの「リング状UFO」は黒い色をしており、約5分間は空中に停滞していたが、やがて白い煙に包まれるようにして消えたという。撮影者は仲間たち複数人とこれを目撃し、6枚のスナップ写真に収めたのだそうだ。この写真は1966年にアメリカ空軍が行ったUFO目撃例の検証研究「コンドン・レポート」にも 取り上げられ、自然現象として結論が付けられた。
このように、昔からぽつぽつと目撃されてきていた「リング状UFO」だが、近年ではデジカメなどのデジタル機器が発達し、またSNSなどの個人が情報を発信できるメディアが増えたお陰で、昔よりも発生してすぐに撮影され、世に広まる機会が増えたため、頻繁に目撃例が報告されるようになったのだろうと見られている。
条件さえ揃えば見ることのできる自然現象だそうなので、もしかするとあなたの頭上に「リング状UFO」が現れる日が来るのかもしれない?
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所