そもそも、度重なるリコール隠し問題で“三菱グループの問題児”の烙印を押された三菱自と、グループ外の日産が手を組んだ背景には何があったのか。
「厳しい経営が続く三菱自は、単独で生き残れない。今回の軽だけでなく、電気自動車でもつながりのある日産を後ろ盾にするのが得策ということ。そのため、グループのトップで構成する“三菱金曜会”が、本来は縁もゆかりもない日産との二人三脚に反対しなかったのです」(情報筋)
三菱自は8月に資本金と資本準備金(計約1兆1000億円)を取り崩し、9246億円に膨らんだ累損を一掃、これをステップに、再建の条件である復配と優先株処理に道筋をつける予定だ。優先株は、議決権がない代わりに普通株に先んじて配当が受けられる株式。これを普通株に転換するか償却して処理しなければ、一般株主への配当は後回しになる。
自動車業界担当の証券アナリストが、三菱自のこの意図を解いた。
「三菱グループの首脳が、日産との軽連合と再建に道筋をつけることをセットで捉えているフシがある。累損の一掃は身辺整理を意味し、優先株の処理や復配も同様です。当然、三菱自の企業価値は高まる。その上で日産に子会社化を働きかければ、ゴーン社長が飛びつくという寸法です」
握手の裏の両社の駆け引きが見ものだ。