『KNOCK OUT SURVIVAL DAYS』
▽8日 後楽園ホール 観衆1,850人(札止め)
久々に不可思らしい試合を見た気がする。それは対戦相手が鈴木博昭だったことも大きかったのだろう。お互いに打ち合うタイプなだけに、戦前から激闘は予想できた。
今回、作られたスーパーライト級のベルトの色は赤。不可思には「赤は俺の色。あのベルトは俺が巻かなきゃいけない」という思いが強い。その思いの強さが1回戦の健太戦では裏目に出た。微妙な判定勝利だっただけに、2回戦はスカッと勝たなければ本人だけではなくファンも納得しないだろう。そんなプレッシャーの中、不可思は冷静に対策を立ててこの一戦に準備してきた。
「対策がうまくハマった。4R終わったとき『最終ラウンドは倒されなければ勝てるな』と思ったんですけど、ダウンを一度も取れないと面白くないなと思って」
途中のラウンド判定では2Rのみイーブンで、他のラウンドは不可思がリード。不可思はボディに狙いを定めて鈴木に主導権を渡さなかった。最終ラウンドもそうだ。後がない鈴木は肘のラッシュで奇襲を仕掛けるが、不可思は動じることなく冷静に対応。そして、残り10秒を切ったところで不可思の右ミドルからの右ストレートが決まり、ついに鈴木がダウンした。
残り時間がなかったこともあり、不可思はこれまでのうっぷんを晴らすかのようにロープに上って叫ぶと、今度はコーナーにも上り勝利のアピール。ゴングが鳴っても気づかないほどの興奮ぶりだった。思わず「爆発しちゃいました」と照れ笑いを浮かべていたが、会場は大きな不可思コールに包まれた。
決勝はRISEを主戦場にしている秀樹と、8.19大田区総合体育館大会で対戦する。RISEライト級王者・不可思と対戦するために今トーナメントに参戦した秀樹は「念願のRISE対決。挑戦者として準備をする」とアピール。不可思は「ダウンはリラックスすれば取れるということが分かった。体は今までも強かったけど、これまではそれを生かせてなかった。練習でそういう手応えがあったのが大きかったと思う。決勝は秀樹選手が来るだろうなと思った。しっかり対策を立てて、赤い俺のベルトを巻きたい」と目をギラつかせていた。
また、この日からフライ級のトーナメントも開幕した。優勝候補のタネヨシホは「バック肘を狙いすぎた」と反省しきりだったが、スタミナの強さを見せつけて1回戦を突破した。
タネは試合後「2回戦はずっとやりたかった石井一成選手とやりたい。あと僕は森井洋介選手のことをカッコイイと思ってて。昨年、森井選手はトーナメントがない大会も全部出た。あれでライト級のトーナメントがさらに盛り上がったと思うし、僕も試合数を積み重ねていきたいので、8月の大田区、9月の大阪と全部出してほしいです」とお願いした。「対戦相手もタイ人とか強い選手で構わないので。それをKNOCK OUTさんにお願いしたい。森井さんとはまだ話したことがないんですけど、チャンピオンになったは話してくれるかなって(笑)」と続け、KNOCK OUTで皆勤を目指すと宣言した。
これを聞いた小野寺力プロデューサーは「それはスゴイ。うれしいことを言ってくれますね。ぜひ、お願いしたい。フライ級にはまだ名の知れてない選手が多いかもしれませんが、名前負けしないトーナメントになると思う」とタネの発言に目を細めた。
フライ級トーナメントは、昨年タネに敗れている仲山大雅が、圧勝KOで1回戦を突破。これが初の後楽園ホール大会出場だったという仲山は「やっと東京で勝てたー!」と叫ぶと「沖縄とは全然雰囲気が違った。昨年タネ選手と試合をしたのは別人だと思ってください。2回戦は(以前)敗れている大崎一貴選手とやりたい。決勝はもちろんタネ選手と。最高の舞台で勝ちますよ」とアピールした。試合のインパクトはタネを大きく上回っていただけに、沖縄のイケメンボーイは侮れない存在になるかもしれない。
次回のKNOCK OUTは8.19大田区総合体育館で開催される。スーパーライト級トーナメントの決勝、フライ級トーナメント1回戦の残り2試合を実施。ライト級王者のヨードレックペットは日本人選手とのカードをするべく交渉中とのこと。“激闘王”水落洋祐が参戦し、前ライト級王者・森井洋介が大月晴明と再起戦を行うほか、緑川創と長島☆自演乙☆雄一郎のスペシャルマッチが発表されている。
▼第6試合 KING OF KNOCK OUT初代スーパーライト級王座決定トーナメント準決勝 64.0kg契約(3分5R)
○不可思(3-0)鈴木博昭●
※判定
▼第5試合 KING OF KNOCK OUT初代スーパーライト級王座決定トーナメント準決勝 64.0kg契約(3分5R)
〇秀樹(4R2分23秒 TKO)マサ佐藤●
※肘攻撃によるカットからレフェリーストップ
▼第2試合 KING OF KNOCK OUT初代フライ級王座決定トーナメント1回戦 51.0kg契約(3分5R)
○仲山大雅(2R1分54秒 KO)山田航暉●
※3ノックダウン
▼第1試合 KING OF KNOCK OUT初代フライ級王座決定トーナメント1回戦 51.0kg契約(3分5R)
○タネヨシホ(3-0)石川直樹●
※判定
取材・文・写真 / どら増田