これには思わず神童も「うぉー!」と興奮を隠せない様子だった。今回の幕張大会はRISEが初めて8,000人規模の会場に進出するビッグマッチとあって、気合の入れ方が半端ない。関係者の話によると「セットも今までで最高のものを組んで、最高の試合を最高の演出で盛り上げていきたい」という。20代から熱烈な支持を得ている清水の来場は、いくつか用意されているであろう演出の目玉のひとつだ。8,000人規模の会場をキックのファンだけで埋めるのは至難の業かもしれないが、人気が沸騰している天心をホールクラスの会場で闘わせるのはもったいないのも事実。ここは勝負に打って出たRISEを称賛したい。
天心は今年2月にKNOCK OUTのリングで「今までで一番強い」と言われたスアキム相手に勝利を収めているが、今回はそのスアキムに圧勝したロッタンと対戦する。この試合はRISEで初めて“世界”の名を刻んだベルトの初代王者決定戦として行われる。その他、RISEフェザー級王座決定戦として、森本“狂犬”義久対工藤政英による激戦必至の黄金カードも組まれた。このほか那須川天心の実妹、那須川梨々のデビューも決まった。元TRIBELATE女子ピン級王者の佐藤レイナと対戦する。RISEヘビー級王者、清水賢吾も参戦。対戦相手として名のある大物と交渉中だと言われており、そちらの発表も注目される。
当日はさいたまスーパーアリーナ・コミュニティアリーナでK-1がビッグマッチを開催すると発表されている。「キックの興行戦争」とも言われているが、両団体ともに独自の路線でファンや一般層…いわゆる世間を巻き込む意向を持っている。またRISEがRIZINやKNOCK OUTなど他の格闘技イベントとも連携する考えを持っているのに対して、K-1は鎖国路線を貫いている。かつての新日本プロレスと、ジャイアント馬場さんが率いていた頃の全日本プロレスのような対立関係ができていて面白い。
新日本の両国国技館大会と、全日本の日本武道館大会が1994年4月16日にバッティングしたことがあった。あの時、新日本は全日本を除く他団体のジュニアヘビー級の選手を集めたジュニアオールスター戦『スーパーJカップ 1st STAGE』を開催。全日本は『チャンピオンカーニバル』の最終戦を開催したのだが、どちらの大会もチケットは完売し成功を収めている。
今後、RISEとK-1はあの頃の新日本と全日本のように刺激し合い、結果キック界全体が盛り上がることを期待したい。そのためにもRISE幕張メッセ大会は成功させなければいけない。今回は地上波の生中継は予定されていない。清水翔太の来場のように「対世間」に向けた発信を進める必要があるだろう。
取材・文 / どら増田
写真提供 / (C)RISEクリエーション