前記した“シャフト”とはアニメ制作会社。西尾維新の小説『化物語』や人気漫画『さよなら絶望先生』『ひだまりスケッチ』のアニメ化を手がけた会社と言えばわかり易いだろうか。積極的に元請けを開始した00年代からシャフト独自の奇抜な演出は方々で話題を呼び、そのファンは年々増加している。本書ではそのシャフト制作作品の魅力を「演出術」、「原作の魅力の引き出し方」、「OP、EDでの仕掛け」、「声優に対するこだわり」など各方面から徹底解剖。西尾維新、久米田康治、赤松健などのシャフトに縁のある原作者、00年代のシャフトを語る上で欠くことのできない新房昭之監督、声優の神谷浩史、斎藤千和なのど対談やインタビューも掲載されており、その魅力が余すところ無く収録している。判形も本誌がA5判なのに対しこの別冊はA4判。大きくて読みやすくボリューム感もなかなかのものだ。
今まで原作者や監督にスポットを当てたアニメ誌は数あったが、ここまでアニメ制作会社にスポットを当てたものは無かったのではないだろうか? 洋泉社の異常なまでのシャフト好きもあるのだろうが、00年代に入ってからのアニメ本数の増加に伴い数々のアニメ制作会社が元請けをするようになり、演出などに制作会社独自の“色”が出って制作会社そのものにファンが増えたのも大きな理由だ。
『シャフト超全集』は00年代から続くそういった新しいアニメオタクのあり方を上手くとらえたといえるだろう。他に制作会社自体にファンが多い会社といえば京都アニメーションなどがあげられる。00年代の制作会社の魅力については長くなってしまうのでまた別の機会に書きたいと思う。(斎藤雅道)