日本のウエイトリフティングを代表する団体である「日本ウエイトリフティング協会」。この団体の会長を2016年9月から務めている三宅義行氏が、パワハラを行っていたのではないかということが一部メディアによって報じられた。
報道内容によると、今回の一件は今月1日に開かれた協会の常務理事会で発覚。会議に参加していた理事の1人が、三宅氏に対する告発文の存在を明らかにしたことがきっかけであったという。とある女子選手によって、数年前に提出されたこの告発文には、当該選手が三宅氏から受けた数々の仕打ちが記載されているとのことだ。
また、その後の各メディアによる続報では、2015年夏に当時副会長の三宅氏、当時の専務理事、当該選手の指導者、所属先の社長の4人で話し合い、三宅氏が謝罪の意を示したということも伝えられている。一見すると決着がついているようにも思われるが、これに関しても「パワハラを隠蔽したのでは」という指摘がされている。
1968年メキシコ五輪で銅メダルを獲得するなどの実績を誇り、現役引退後は自身の娘である三宅宏実を2012年ロンドン五輪(銀メダル)、2016年リオ五輪(銅メダル)の2大会でメダルに導いた三宅氏。その“重鎮”に浮上した疑惑を受け、協会側は今後の調査を検討する方針を示している。
アメフト、レスリング、ボクシング、体操といった競技でパワハラ問題が勃発している昨今のスポーツ界。こうした流れもあってか、今回の一件を受けたネット上には、批判や疑問の声と共に「ニュースつけるたびにパワハラ問題のことばっかで飽きた」、「次はどのスポーツですか?」、「もう日本のスポーツ界なんなの」といった辟易のコメントも少なからず見受けられている。
2年後の2020年に、スポーツの祭典である東京オリンピック・パラリンピックを控えている日本。しかし、肝心のスポーツ界がこんな調子では、先が思いやられるばかりだ。
文 / 柴田雅人