それは「第二回神保町ミニコミフリマ」。主催は、東京都新宿区にある書店「模索舎」。ミニコミ発行者が、共催となるまんが喫茶「漫楽園」(東京都千代田区)の店内に販売ブースを開店し、一般顧客を相手に、フリーマーケットを開いた。
ミニコミとは、主に紙媒体を前提にして使われてきた言葉で、自主製作メディアとしての小規模出版物などをさす。社会的現象としては、1960年代から70年代にかけて広まりはじめた。タウン誌やサブカルチャーの隆盛らをへて、現在に至る。
「模索舎」は、1970年開店のミニコミ取扱書店。
今回の「神保町ミニコミフリマ」は、「模索舎」がミニコミ発行者に参加を呼びかけ開催された。屋外、屋内を問わずミニコミを集めたフリーマーケットが開催されることはあるが、まんが喫茶を会場とするイベントは珍しい。
まんが喫茶「漫楽園」は、老舗書店や和菓子店が肩を寄せ合う「神保町すずらん通り」にある。サブカルチャー、レアものを含み2万冊以上を蔵書するが、店内には個室を設けていない。メインスペースのテーブルの上には、パソコンが置かれておらず、読書と喫茶のための空間を提供している。
「神保町ミニコミフリマ」には、学生から、活躍中の小説家や批評家まで、多彩なミニコミ発行者が、それぞれの屋号をかかげて出店した。「漫楽園」メインスペースのテーブルで、自作の看板を立てるなどし来場者を迎えた。
ミニコミの中身は、まんが、イラスト、随想、詩、研究、評論など。野宿ら特定のテーマを設定した雑誌や、市井の人間が生活者としての視点から街や人を見つめ、そして自分自身を見つめるという、一般の書店には並びにくい表現物も販売され、ミニコミの形も、100円のホチキス本、リボンや付録をつけたもの、DTP技術を駆使したオンデマンド出版物など、個性的。なかには、無料配布冊子であるフリーペーパー、自主製作CD、布や手書きのイラストを使っているため一点ものとなる豆本などを、配布、販売する参加者もいた。
来場した顧客は、ミニコミ発行者が出店しているため、商品内容を、直接、生産者に尋ねることができる。また、普段は接点がないミニコミ発行者どうしがフリーマーケットという場所を利用して交流を深めるなど、にぎわいを見せた。(竹内みちまろ)