天才的なバットコントロールで、レギュラーポジションを手にしてからはスランプらしいスランプを経験してこなかったが、今年は開幕してからバットは湿りがち。3月は.083、4月は.176とまさかの低打率にあえぎ、4月までの打点はわずか4と信じられない数字が並んだ。守備でも精彩を欠き、昨年ゴールデングラブを獲得した姿は影を潜めてしまった。
また一昨年には23とリーグ最多の併殺打を記録したが、去年は16まで減らしていた。しかし今年は既に7つも記録してしまうなど”らしくない”状況が続いていた。
そんな絶不調だった宮崎が、令和になってから調子を上げてきた。5月の打率は.351で、ホームランも3本マーク。特に印象的だったのは5月10日のカープ戦。ここまで既に2敗を喫している苦手左腕の床田寛樹から2発を放ち、チームを勝利に導いた。1本目は粘って11球目のインコース高めのストレートをレフトへ、2本目はインコース膝元の難しいストレートを、これまたレフトへ運んだ。
スランプの間も、三振は相変わらず少なく、フォアボールを選ぶ率と、ボールをバットに当てるコンタクト率も去年から大きく変わってはいなかった。ただボールが上がらない状況が見られ、ゴロが多くなったことから併殺打も増えてしまったのであろう。ここに来て打球が上がってきたことで、調子も上がってきたとみてよさそうだ。
チームは二桁の借金を抱え、苦しい状況に変わりはない。打線もネフタリ・ソトとホセ・ロペスの両助っ人外国人が本来の姿を見せていない。それだけに天才ヒットメーカーが復調し、オフェンスの起爆剤として機能してくれることをファンは待ち望んでいる。
“涙枯れるまで“のテーマ曲とともに、ハマスタのお立ち台に立つ日がもうすぐやってくるはずだ。
写真・取材・文 / 萩原孝弘