昨年秋に公開された小栗主演の時代劇「TAJOMARU」。同時期に公開された草なぎ剛主演の時代劇「BALLAD 名もなき恋のうた」に完敗だったこの作品は、活劇なのかと思いきや、芥川龍之介の小説「藪の中」を原作とした男女のドロドロ劇。しかも「TAJOMARU」の題名にもなっている多襄丸という豪快な盗賊は、最初は小栗ではなく松方弘樹の役であり、小栗が演じた主人公・畠山直光の見せ場は少ない。そして小栗は、松方弘樹、近藤正臣、萩原健一の「3ジジ銀幕スター」に完全に食われ、足利義政(萩原)の“手つき”にされ復讐に燃える桜丸を演じた田中圭、家来のやべきょうすけ、適役の池内博之といった若い共演者にもやや食われぎみ、ヒロインも柴本幸のみというパンチの無さだった。
そしてあろう事か小栗は、この時大先輩である松方弘樹からのある「お誘い」を、勝手な理由で断っている。実は小栗の人気急落はここから始まっているのだ。
普段、松方弘樹の頭の中は90%が「カジキマグロ釣り」で占められていて、残り10%が「仕事」「オンナ」などに配分されている。マグロ釣りに前面協力してくれるテレビ番組の視聴率を上げるために、どうしても若くて人気者の「釣り仲間」がほしい。そこで、「TAJOMARU」のプロモーション中に、松方は小栗を必死で釣りに誘うのだが、どこの孤島に連れて行かれるかわからない上に、行ったら最後、巨大マグロが釣れるまで帰って来れない事にうすうす感づいていた小栗は、やんわり「釣り仲間」になる事を拒否。松方は泣く泣く小栗をあきらめ、年末に時代劇ドラマで共演した反町隆史(もともと釣りが趣味)と、意気投合した。小栗はここでツキを逃してしまう。
その後の小栗は、フジテレビ系ドラマ「東京DOGS」では身持ちのカタイ水嶋ヒロに話題をもってかれ、演技もマンネリ化。山田との同棲や浮気疑惑でなんとなく不潔なイメージをもたれている。もし、小栗が松方と、「カジキマグロ」釣りの番組に出ていたら、小栗を上回る「オンナ好き」である松方に同化し小栗も“浮気しても納得されるキャラ”に変わって、今まで対象外であった男性ファンの獲得も出来たはずだ。やっぱり小栗はあの時、臆せず「釣りオヤジ」の誘いに乗れば良かったのだ。逃した魚は大きい。(コアラみどり)