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お盆は地獄に行ってみよう

 日本の伝統行事であるお盆には、地獄の釜のフタも開き、死者たちの魂がこの世に帰ってくるといわれている。

 人は死後、どこへ行くのだろうか。
 仏教では非常に善行を積んだ人や修行者は天界へ、それ以外の人は業の深さによって再び人間界に舞い戻るか、もしくは阿修羅界、畜生界、餓鬼界のいずれかに行くことになり、罪人は地獄界に落ちると信じられている。

 中でも地獄では、恐ろしい責め苦が待っているといわれているが、針山や血の池などの名称を聞いたことはあるものの、どのような場所であるのかは想像が湧かないのではないだろうか。
 徳島県には、この地獄の責め苦の様子を具体的に見せてくれるお寺がある。徳島市内から車で約2時間、浜辺の町の静かな住宅地の中にある華厳宗の寺、正観寺。スリランカの仏歯寺から分骨された仏舎利(お釈迦様の遺骨)もお祀りしている、由緒のあるお寺である。

 極楽浄土のごとく手入れされた緑があふれる、広い境内の右手の坂を上がると、「八大地獄」という施設がある。入館料金は400円。現在、館内は写真撮影禁止となっている。
 一歩中に入ると、館内では赤黒く薄暗い炎の中で、恐ろしい表情の2m近い鬼たちが、血まみれの小さな亡者たちの体を切り刻んだり、釜で茹でたり、皮を剥いだりと、リアルかつ恐ろしい電動ジオラマで地獄の責め苦の様子を見せてくれる。鬼たちがノコギリを引き、ナタを振り下ろす無機質な音だけが響く館内は、お化け屋敷など比でないほどの鬼気迫る恐ろしさを感じさせてくれる。

 罪人たちは罪の内容や深さによって八種類ある地獄のいずれかに落とされるという。
 殺生をした者は、針山を歩かされた上に体を引きちぎられる「等活地獄」へ。
 殺生に加えて泥棒をした者は、ノコギリやナタで体を切り刻まれる「黒縄地獄」へ。
 さらに邪淫を犯した者は、鍋で煮られたり逆さに吊られて火炙りにされる「衆合地獄」へと、奥に歩き進むほどにさらに罪深い者が落ちる、より深くて恐ろしい地獄の光景が待っているのだ。

 この「八大地獄」は決して奇異なものではなく、昔はどこのお寺でも「地獄絵巻図」などを用いてお寺の和尚さんが絵解きをしながら人々に地獄の恐ろしさを説明し、道徳や信仰心、戒律の大切さを説いていた説法の現代版なのである。非道な事件が連日のように起こる昨今、「悪いことをする子は地獄に落ちるよ」と、戒められた子供の頃を思い出す人もいるのではないだろうか。

 この正観寺の「八大地獄」を訪れる時は、決してお化け屋敷や遊園地のアトラクション感覚で騒ぎながら遊びに行くのではなく、仏教や道徳の学習の場として作られた施設であることを忘れずに、「善行善果、悪行悪果、自業自得」の戒めを噛み締めながら、謹んで拝観する気持ちを忘れないでいただきたい。

(「催旺風水」あーりん 山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou

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