今年は田中将斗の4連覇や大谷晋二郎の3年ぶりとなる火祭り刀奪還など、ZERO1勢への注目もあるが、やはり中心となるのは初参戦の曙だ。にもかかわらず、その“主役”のヨコヅナから覇気が感じられない。
開幕まで2日に迫ったこの日の直前会見では、初戦の後楽園大会で対戦する同ブロックの大谷から挑発されたり、そのほか参戦メンバーからも次々と「警戒する選手」に上げられるも、なぜか当の本人は恐縮気味。
「火祭りは初めてなので新弟子のつもりでがんばりマス」と“フレッシュマンファイト”を誓うのみなのだ。
いまやプロレス界でも大御所となっているにもかかわらず、いまなお「新弟子のつもり」では拍子抜けもいいところ。プロレス界でも最高位に立つ気概があるなら、「優勝以外あり得ない」ぐらい大きく出ても、なんら問題ない。アツい男たちが集う火祭りにおいて、この勢いでは埋もれてしまうこと必至。
ただ、優勝候補としてファンの期待がかかるのは、いまのヨコヅナには優勝できるだけの実績があるからにほかならない。2005年からプロレス界に本格参戦を果たし、世界最高峰のプロレス団体と称されるWWEの「レッスルマニア」ではビッグ・ショーとの相撲マッチで勝利。その後は全日本プロレスやプロレスリング・ノアに参戦。2007年には新日本プロレス「G1クライマックス」にも出場するなど、数々のメジャーマットと大舞台を経験し、もう火祭りを制すだけの機は熟している。
相撲時代の栄光とプロレス界で積み重ねた5年弱のキャリア。まだ会見の「新弟子のつもり」というコメントを聞く限り“プロレス偏差値”はさほど高くないのかもしれないが、いまだプロレス界で無冠に甘んじている横綱には、是非とも火祭り制覇を機に一皮向けてさらなる飛躍を遂げてほしいものだ。