この時のメンバーはファンキー中村、結城伸夫、いたこ28号、巨椋修、山口敏太郎。彼らが午後11時から午前4時まで、ひたすら語り続けるというものであった。放送時は特に問題なく終わりを迎えた。問題は、その後である。
このスティッカムでの放送は録画することが可能であり、後日、スティッカムにある雲谷斎のページで公開された。番組に出演したメンバーたちもその動画を確認していたのだが、ファンキー中村があることに気が付いた。何と、自分達以外の声が番組内に入り込んでいるのだ。カメラやマイクの設置、その他サポートをするスタッフが数名いたのだが、どう考えても彼らの声ではない。その奇怪さは、映像を見ていただければお分かりになるであろう。
まず最初の声は、44分37秒。ファンキー中村がエクソシストの映画をしていた時である。突如、「コオオォォォォォォォ…」とこもったような声が耳に響いた。その声は例えるならば、悪魔の唸り。エクソシストの映画を見たことのある方なら、その声を聞いた時点で何かを思い出すかもしれない。そう、映画に出てくる悪魔に取り付かれた女の子の声とよく似ているのである。もう一つある。44分57秒くらいのところで、かなり小さいが声が聞こえる。
筆者も最初は全然分からなかったのであるが、聞こえた瞬間、悪寒が走った。何と、何の変哲もないところで、「とぉさん」と言う声が入り込んでいるのである。その時メンバー一同が爆笑しており、かなり聞こえづらいのだが確かに声は存在している。小さな男の子が発しているようなものであった。
これは映画とは関係ないのであるが、この映画の話の前に筆者・山口敏太郎が生き人形の話をしていたのだ。生き人形とは、稲川淳二氏の怪談で有名になった災いをもたらす人形のこと。男の子人形と女の子人形があり、人形に関する怪異現象について某テレビ局のスタジオで収録した際に少年の霊が出現したという。その後も、そのスタジオでは、番組を撮影していると出演者に子供はいないのに、男の子の声が入っていたり、機材置き場などで男の子の霊を見かけるなど怪しい事が多々あった。それ故、今もそのスタジオにはお札が貼られている。
筆者もその某テレビ局で収録があり、こっそりと例のスタジオの前まで行ったことがある。その際、生き人形伝説が今でも存在することを知って喜んでしまったのだ。そのためか夜、筆者の泊まっていたホテルに彼が現れ、関節のない手で手首をつかまれたのだ。その時に聞いた男の子の声と、今回聞いた声が似ているように思えてならない。彼がなぜ「父さん」と呟いたかは、未だに謎であるが。恐らく、映像という媒体を通じて、自分たちのことを話してくれるところに滲入してきたのであろう。それは憎しみか、喜びか。
いずれにせよ、彼らの声を聞いた者に災いが降りかからないことを願うばかりである。
(写真=「怪談おやじ倶楽部」で怪談を語るファンキー中村氏)