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『めだかボックス』第2回人気投票でアンチヒーローが圧勝

 12日発売の『週刊少年ジャンプ』40号でセンターカラーになった西尾維新原作、暁月あきら作画の『めだかボックス』が第2回キャラクター人気投票結果を発表した。アンチヒーローの好敵手の球磨川禊(3854票)が2位の主人公・黒神めだか(992票)の4倍弱という圧倒的な票差で首位になるという意外な結果になった。

 『めだかボックス』は生徒会長の黒神めだかが生徒会メンバーらとともに学園内の問題を解決する学園物である。原作者が『化物語』などで有名なライトノベル作家・西尾維新ということで鳴り物入りの連載開始となったが、ラノベでの人気が単純にジャンプでも通用するほど甘くはなく、ジャンプの掲載順位も後ろの方と低迷した。

 人気の伸び悩みの要因は、主人公をめぐる関係性の揺れである。初期の構図は万能の主人公と、それに振り回される幼馴染みの人吉善吉であった。しかし、『涼宮ハルヒ』シリーズのキョン的な振り回され役だった善吉も、いつの間にか姫を守る騎士のようなポジションとなった。

 転機は球磨川禊の登場である。当時は黒神と「十三組の十三人」(サーティン・パーティ)との戦いが長引いていた。「十三組の十三人」は特殊な能力に長けた異常者(アブノーマル)の集団であるが、異常さという点では主人公が突出しており、キャラクターとして凄みに欠けていた。

 そのために「十三組の十三人」の中でも特に異常度が高いとされる「裏の六人」(プラスシックス)との戦いで引っ張らず、球磨川に瞬殺させたことは思い切った好判断であった。その球磨川は「ぬるい友情と、無駄な努力と、空しい勝利」とジャンプの標語を否定するマイナス志向のアンチヒーローである。

 物語は球磨川が率いる「マイナス十三組」との「生徒会戦挙」に突入するが、「マイナス十三組」の能力は主人公サイドの能力とは異質であり、敵キャラとしての存在感を放っていた。アブノーマルの中で最もインパクトがあり、その後も活躍の場を与えられた名瀬夭歌(黒神くじら)がマイナスに近い存在とされている点も興味深い。

 「生徒会戦挙」の決着後に球磨川は生徒会副会長に就任する。「昨日の敵は今日の仲間」という少年漫画の定番パターンであるが、球磨川はアンチヒーローぶりを保っている。そして球磨川が主役的な活躍を果たすオリエンテーション編で『めだかボックス』の人気も上昇し、ジャンプでの掲載位置も中ほどになった。

 ところが、センターカラーになった今回は黒神が久しぶりに登場し、主役ポジションが元に戻った。人気投票1位に輝いた途端に活躍の場がなくなる球磨川のマイナスぶりは特異である。「『球磨川ボックス』の方が面白い」との声も聞かれる中で、主人公の活躍が『めだかボックス』の人気にどのような影響を与えるかに注目である。

(林田力)

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