◇今週のこの1枚◇ザ・ビートルズ「Love」(2006年/Apple/Capitol/Parlophone)
リアルタイムでない私のようなビートルズファンは、リマスターが出たりモノ盤が出たり、BBCでの未発表の曲が出るだけで、一喜一憂するのですが、その中で一風変わった作品がこの「Love」です。最初に言っておきますが、ビートルズのアルバムをちゃんと聴いたことが無い方は、決して一番最初に、このアルバムを聴かないでください(笑)。
ことの始まりは、ビートルズのメンバー、ジョージ・ハリスンとシルク・ドゥ・ソレイユの創設者、ギー・ラリベルテの友情から始まります。ビートルズの音楽とシルク・ドゥ・ソレイユの幻想的な世界を融合しようという話で盛り上がり、コンセプトが浮上します。そこでビートルズの曲の各トラックを使って、何か新しいことが出来ないかとジョージ・マーティンに話が持ち込まれたみたいです。体力的なこともあり、息子のジャイルズ・マーティンと共同作業で1時間半程度のサウンドトラックを作ることとなりました。その作品が「Love」です。
ビートルズを毎日のように聴いてきた私にとっては、とても新鮮で、まず、先が見えないことが面白かったですね。曲が終わると、普段は次の曲が頭の中で自然に鳴りますから。 あと、違うリズムトラックで騙されたり、色々な音がコラージュで隠されているので、それを探すのも宝探しのようで愉快でした。曲もすべて繋がっているので、DJでも面白く使えます。お客さんからも、「これ何?」みたいな顔で見られますしね。まぁ、人によっては、許せないアルバムだと思いますが(笑)。遊びだと思って聴いてみると、とても楽しいアルバムです。
ビートルズのメンバーも公式に認めているアルバムですが、そんなところの余裕もいいですね。しかも、ビートルズのように厳重に音源が保管されているアーティストじゃなきゃ、このような作品が生まれることもありませんから。
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