1980年7月に開業した同ホテルは、つくばエクスプレス開通やITタウン化などによる立地環境の劇的な好転をとらえ、老朽化した建物を取り壊すことを決めた。運営する藤田観光(本社東京)が昨年11月に建物のオーナーであるダイハツと合意したもので、今年3月末をもって営業を休止する。
藤田観光の企画室開発グループは「秋葉原は家電、オタクの街だけでなくITタウンに変貌しつつある。世界中からIT関連のビジネスマンが訪れるようになってからでは遅い。これからの秋葉原のホテルは寝るだけでなく快適な居住性を求められるので、いまのうちに建て直すことにした」と話している。
新ホテルは地上14階、地下1階建てで、居室は現在の312室から369室に増やす。15平方メートル以上のゆとりある居室をベースに、セキュリティーのしっかりしたレディースフロアや快眠寝具、IT環境を整備して、ビジネスや観光の拠点にふさわしい空間を演出するという。
「秋葉原は都内東部の中心になる。海外からのお客さん向けに、江戸の匂いがするモダンな『和』のスペースはぜひ設けたい」(同)。1、2階部分にはテナントが入居する予定だが、「メイド喫茶入居?それは全く考えていません」とのことだった。
新宿や丸の内・銀座などに比べ秋葉原にホテルは少なく、5〜10年先の需要を見越した戦略のようだ。
戦後の高度経済成長期から「家電の街」として発展してきた秋葉原は、アニメやホビーなどのオタク層を上手に巻き込んで賑やかになった。駅前には大規模オフィスビルが立ち並び、今度は洗練されたITタウンに生まれ変わろうとしている。