兵庫県警西宮署は16日、西宮市の会社役員の男性(41)から現金550万円をだまし取ったとして、元阪神、オリックス・バファローズの選手で不動産会社社長の塩谷(しおたに)和彦容疑者(38=大阪市浪速区)を詐欺容疑で逮捕した。
逮捕容疑は10年8月中旬〜9月下旬、「新しくできる大阪の商業施設に入る飲食店の売り上げの一部を、受け取る権利を譲る」とする架空の話を持ち掛け、男性に3回に分けて計550万円を口座に入金させ、だまし取った疑い。
塩谷容疑者は「大阪の百貨店に、レストランブースの権利を1口300万で6口持っている。売り上げの12〜15%が入るので2口買って欲しい」とウソをつき、男性をだました。男性は「現場を見せてほしい」と要望したが、塩谷容疑者は先送りし、11年4月に連絡が取れなくなったため、今年7月に同署に告訴した。塩谷容疑者は「事業費や生活費に困っていた」と容疑を認めている。
塩谷容疑者は兵庫・神港学園高校時代の92年に夏の甲子園大会に出場。同年のドラフトで阪神に6位指名され入団。当初は捕手だったが、野手に転向してからは内野、外野をこなすユーティリティープレーヤーとして活躍。96年10月9日の中日戦で、プロ初本塁打となる満塁本塁打を放ったが、このイニングには新庄剛志も満塁本塁打を打っており、プロ野球史上初の1イニング満塁本塁打2本の珍しい記録を打ち立てた。
02年にオリックスに移籍すると、出場機会が激増。03年には初めて規定打席にも到達し、123試合に出場、3割(.307)をマーク。8本塁打、46打点でオールスター戦にも選ばれた。05年オフに戦力外となり、06年は韓国のSKに入団するも、シーズン途中に引退した。10年にはBCリーグの福井の打撃・守備コーチに就任したが、開幕前日に一身上の都合で退団している。
在籍時に接点があった阪神・高野栄一球団本部長(49)は、「突然のことで驚いています。報道が事実であるなら非常に残念です」とコメントした。
野球一筋で生きてきた元プロ野球選手の第2の人生は、決して平坦なものではないだろう。しかし、犯罪に手を染めてしまってはおしまいだ。元プロ野球選手の相次ぐ逮捕劇は、残念としかいいようがない。
(蔵元英二)