なぜ、楽天の観客動員数が突出して少ないかといえば、本拠地・クリネックススタジアム宮城の集客人数が2万2000人と小さいためだ。
「検討課題として、できるだけ前向きに取り組んでいく」
去る12月8日、プロ野球・実行委員会を開かれ、楽天・井上智治オーナー代行はそう釈明したが、「2万2000人くらいがちょうどいい」ともこぼしていた。
そもそも楽天は、04年オフに新規参入する際、06年までに本拠地座席数を「2万8000席まで増設する」と約束しており、それが履行されていないために同委員会が問題視したのである。
座席数を増設しなければ、どうなるか。楽天が日本シリーズに進出した場合、当該チーム、出場選手への分配金が減り、NPBも減収を免れなくなる。
井上オーナー代行の「2万2000人くらいがちょうどいい」発言は、仙台市民の野球熱を疑うものではない。そう言わざるを得なかったのではないだろうか。5万人強の収容可能な本拠地を持つ球団は、阪神、巨人だけ。セ・リーグ1位の300万7074人の総観客動員数を集めた阪神でさえ、1試合の最多観客数は4万6893人。甲子園球場の最大収容人数は5万454人だから、3000人強の「空席」を出した計算になる。
座席数を増やせば、その改修費用は球団の負担だ。球場維持費の出費も増える。座席数を増やさなければ、増収の可能性も否定することになるが、プロ野球が絶対的な人気を誇る時代ではなくなった。クリネックススタジアム宮城の座席数を詰るだけではなく、NPBはオールスター戦、交流戦、クライマックスシリーズなど、興行形態についても同時検討すべきではないだろうか。(スポーツライター・美山和也)