同店は都内でも珍しい、アニメオタクを主要の客層にすえたバーだ。14年の7月にオープンした。高知にある、「おたくLabo 高知ロワイヤル」の姉妹店にあたるそう。元々高知ロワイヤルは、「オタクの、オタクによる、オタクのためのバー」をコンセプトに、12年の4月にオープンしたということで、同店でも同じ方針で経営をしており、店長である朱夜氏は、「アニメ・マンガ・ゲーム好きの人なら、来る者は拒まずという感じです」と店の方針を語った。
朱夜氏は、元々客として同店を訪れていたが、先代の店長が退職するということで、存亡の危機に瀕していた同店を救うため、ちょうど転職を考えていたこともあり、「なくなっては嫌だ」と店長に立候補したそうだ。
香川県をはじめ、四国のアニメ放送本数は、都内や関東に比べると圧倒的に少ないが、最近はネット放送が盛んで、パチンコでアニメ作品の台が登場することなどもあるので、地方でもハマる人が多いという。また、高知県の「まんが甲子園」や、徳島県の「マチ★アソビ」など、アニメ・マンガも最近話題となっており、四国全体を通して、アニメ・マンガ・ゲームに関するオタク熱は高まっているそうだ。実際に客として来店していた男性にもアニメにハマった理由を聞くと、「パチンコから入ったという感じですね。今頃進撃の巨人にハマってますよ」と返した。もちろん、子供の頃からアニメを観続けている生粋のアニメオタクの人もおり、ネット全盛の現在において、数少ないリアルでのアニメオタク同士のコミュニケーションの場となっている。
来店時は、ちょうど『銀魂』のキャラ、銀さんこと、坂田銀時の誕生日ということで、店内のスタッフが銀魂にちなんだコスプレをしていた。ちなみに、銀さんのコスプレをしていた朱夜氏は、普段からコスプレで接客しているそうで、イベント事がない日は、自分の好きな作品である『東方Project 』の紅美鈴や十六夜咲夜のコスプレをよくしているらしい。
店内はアニメポスターやフィギュアなどであふれているが、これらのものはスタッフの私物や客の持ち込みなど様々とのこと。朱夜氏以外に、数名の女性スタッフがおり、たわいない会話にも面白く受け答えをしてくれる。また、地元のお客さんも、アニメのみならず、特撮やB級映画にも詳しい人がいるそうなので、色々話しかけてみると、楽しい酒の席となるかもしれない。
お酒メニューはビールやカクテルなど、至って普通のラインナップだったが、朱夜氏の気が向けば、好きな作品のキャラにちなんだカクテルを作ってくれることもあるとか。予算も、調子に乗らなければ、都内のバーで飲むよりは、かなり安く済むようになっている。ちなみに、乾き物などの、軽食以外の食事の提供は出来ないそうなので、食事は他の場所で取ることをオススメする。
ただ、朱夜氏にはひとつだけ悩みがあるそうだ。それは、バーやスナックなどが混在する雑居ビルの中にあるので、怪しい店と間違われることがあることだ。そういった理由もあり、店長は、「ボッタクリバーとかじゃないので(笑)、アニメ好きの人はぜひ足を運んでください」と話していた。(斎藤雅道)