クライマックスシリーズ進出を懸けた10月18日の最終戦で、6回4失点で負け投手になっている。もっとも、「クライマックスシリーズ進出圏に浮上できたのは、8、9月に金子が本来の調子を取り戻したから」だが、2011年の推定年俸は1億5000万円。ここまでのオリックスの言動から察するに、「現状維持」、「微量の減給」もあり得る。
フロントは08年セーブ王の加藤大輔投手(31=現楽天)に戦力外を通告した(11月14日)。推定年俸6000万円だった加藤に対し、フロントは本人の承諾を必要とする減額制限以上のダウン額を提示。両者は折り合えず、解雇・トライアウト受験となったわけだが、チームの精神的支柱とも言える田口壮外野手(42)も解雇している。右肩にも故障を抱えており、年齢面も考えれば、球団の判断は間違ってはいないが、田口は将来の指導者候補として呼び戻した選手である。こういう“ドライな選手評価”も続いているだけに、金子の出遅れは公傷として扱われないのではないだろうか。これが、「減給の可能性」を捨てきれない理由だ。
金子は昨年の契約更改で7200万円増の1億5000万円を勝ち取った。加藤、田口を見れば分かる通り、ドライな斬り方もするが、「活躍した選手にはしっかり出す」という方針なのだろう。
また、オリックスの契約更改については、こんな情報も聞かれた。
昨年、大盤振る舞いがあったのは金子だけではない。2年連続3割の坂口智隆外野手も1億円を突破(推定)し、これで「日本人の1億円プレーヤー不在」の汚名は返上された。しかし、その裏でベテラン勢が何人も解雇されている。前年7000万円の大村直行、同5000万円の濱中治たちである。若手が成長し、昇給対象者が出現すると、ベテランを斬る−−。オリックスはそうやって原資調達しているのだという。
この「原資調達」の方法を今オフに当てはめてみると、寺原隼人、西勇輝、中山慎也、岸田護、平野佳寿などが昇給対象者となる。彼らの昇給分を確保するために加藤たちを切り、さらに朴贊浩、李承も退団させた。これで足らなければ、エース・金子の1億5000万円も原資調達の“標的”にするしかない…。
昨年オフ、金子は最多勝投手の称号を得て、オフも多忙だったと聞く。連勝、連敗を繰り返す投手−−。そんな不思議な傾向もあるが、復帰登板で調整不足を感じさせない投球を見せてくれた。今オフはフィジカル・ケアにも配慮すれば、たとえ減俸提示でもすぐに取り戻せるのではないだろうか。(一部敬称略 了/スポーツライター・飯山満)