「落合GMは監督時代から担当コーチの職域を侵すことは絶対にしませんでした。先発ローテーションは当時の森コーチに完全に託し、自身が試合開始前までその日の先発投手を知らないなんてこともありました」(プロ野球解説者)
落合GMは世代交代を進めるため、水面下で動いていた。ドラフト候補の視察、それも、社会人野球の会場で目撃されていた。
「ゼネラルマネージャーはチーム編成の決定権を持つわけですから、落合GMが社会人野球の大会を自ら視察したとなれば、中日の今年のドラフトは高校生、大学生ではなく、社会人中心の指名になりそうですね」(球界関係者)
『社会人野球の逸材』を大量指名する…。
即戦力系の大人の投手を指名するのだろうか。現時点ではその可能性も捨てきれないが、社会人野球の逸材を指名するということは、「20代半ばの選手」を集めようとしているわけだ。
04年オフ、監督・落合は就任1年目でリーグ優勝を果たすと、大掛かりな『オレ流チーム改革』を強行した。12月末時点で外国人選手を含む18人に解雇通告を下す。中日ナインは驚いた。就任時は「現有戦力の10%アップ」と称して全選手を残留させており、その正反対のチーム改革に乗り出したからだった。
「最初からそのつもりだったのではないかというのが、当時の関係者の見方です。就任早々、いきなり大量解雇に踏み切れば、指揮官としての求心力も失いかねない。おそらく、『現有戦力の10%アップ』の言葉には、『10%のレベルアップができなかったヤツは切る』の意味も含まれていたのでしょう」(同)
監督・落合は現有戦力で初陣を戦おうとした理由を、「自分の眼で(現選手たちを)確かめもしないで…」とも語っていた(当時)。GMとなった今日、関係者によれば、スカウト陣にこう言い放ったそうだ。「自分の眼で見たものしか信用しない」−−。落合GMが水面下での視察(スカウティング)を続けている理由はここにある。
04年オフ、監督・落合は大量解雇に踏み切ったことを記者団に質問され、こう答えたそうだ。
「クビになる選手ってのは、『あと1年やらせてくれ』とか言うんだけど、だったら、クビになる前から練習しろって…。遅いんだよ」
現有戦力の10%アップを掲げ、選手の本質を見定め“決断”する。20代半ばの社会人選手を指名するということは、04年オフのこの悲劇が繰り返されるのではないだろうか。
GM就任後の初仕事は、高騰を続けるチーム総年俸を抑え込むことたった。落合GMは成績不振の選手に対し、容赦なく減俸を提示し、交渉の席でも完全論破している。結果、総額で7億円強の総年俸削減に成功した。解雇通告された選手が“抵抗”したとしても、落合GMには初志貫徹の強い意思がある…。