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ペナントレース佳境 今オフは球界の大移動になる!? (北海道日本ハム)

 『世代交代』はどのチームにも必要である。だが、“ベテラン野手の外し方”は本当に難しい。打撃成績、守備力など加齢による衰えはあっても、長くチームに尽くしてくれた功労者であり、選手全員に及ぼす影響力も並大抵ではない。
 ベテラン選手が通用しなくなってから代わりを見つけるのは良策ではない。しかし、北海道日本ハムは違う。チームの中に「世代交代の小川」があって、緩やかに、近未来に向かって流れているのだ。

 日本ハム球団が他11球団に先駆け、BOS(ベースボール・オペレーション・システム)を導入して久しい。平たくいえば、BOSとは、選手を数値化し、「数年後のチーム像」も想定して、余剰戦力を持たなくする。近年、日本ハムも主力選手のFA流出があったが、それが理由でチームが低迷したことはない。「次世代」を計算しているからであり、他球団も追随してBOSを導入したが、日本流で考えると、こうも言えなくはない。
 「長年、チームを支えてくれたベテランに対し、冷たすぎるのでは」−−。

 昨年オフ、日本ハムは正捕手・鶴岡慎也(33)のFA退団を見送った。正確に言えば、慰留交渉を行っているので、「鶴岡の退団の意思が固かった」となるが、同年114試合に出場している。しかも、選手会長だった。
 「鶴岡の日本ハム最終年の推定年俸は7600万円。ソフトバンクとは複数年契約を交わしましたが、年俸は同じ7600万円です(出来高含まず)」(プロ野球解説者)
 BOSは上り調子にある20代半ばの選手には大幅昇給を付けるが、20代後半から30代にかけては厳しい評価を下すという。
 日本ハムには08年ドラフト1位捕手の大野奨大(27)が控えており、12年シーズン、高卒ルーキーながら一軍マスクを経験した近藤健介(21)もいた。とくに近藤は外野手でスタメン起用されるなど、『身体能力』の高さも存分に発揮している。鶴岡は「まだ衰えていない」の思いも強くあったはずだ。年俸は頭打ちになる、大野、近藤の追随を許すくらいなら…。

 糸井嘉男外野手(33)のトレードにもBOSに基づく「放出後の戦略」があったから決断したという。糸井に関しては米球界挑戦を巡る感情的衝突もあったらしいが、過去、日本ハムがFA行使者を強く慰留しなかったのは『チーム方針』によるものと言っていい。
 その定理に基づくベテランが2人いる。1人は通算200セーブの大台も見えてきた武田久(35)で、野手では小谷野栄一(33)だ。
 武田は序盤戦で本調子ではなく、二軍降格の屈辱も味わった。復帰後、クローザーではなく、先発投手が早く崩れた際に緊急登板する『中継ぎ』もやらされた。勝負どころの試合終盤での継投役も外されたのは年齢的衰え以外にも理由があるとされており、自身も「200セーブを早く達成したい」と思っているはずだ。
 「今季、外野手の中田翔が三塁、一塁を守る試合もあり、その役どころは小谷野と被ります。糸井、鶴岡と続いて、小谷野自身も『次は自分の番』と覚悟しているのでは」(前出・同)

 他球団は国内FA権を取得した宮西尚生投手(29)の動向を注視している。7年連続50試合以上に登板したタフネス左腕であり、FA権を行使した場合、「金子(千尋=オリックス)以上の争奪戦になる」とも予想されている。
 小谷野の推定年俸は7000万円だが、宮西は1億4000万円。武田は2億4000万円。BOSは「1億円強の選手に対し、高い数字を残して当然」の計算も弾き出すという。長年、チームに尽くしてきた自尊心を傷つけられるような査定をされるくらいなら、他球団へ−−。
 ベテラン・稲葉篤紀(42)の引退が表明された。近年の稲葉はチーム事情により、不慣れな一塁の守備にも入ったが、二軍調整中も経営陣は暖かい目で見ていたという。理由は『ポスト栗山』の最右翼だからだろうか。武田たちの立場とはまさに対照的である。(了)

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