アルバラデホが公称をはるかに上回る『体重126?』でキャンプインしたことは既報通り。もともとは人材豊富なチームであり、オフに外国人選手を大量補強した経緯も考えると、「1人の出遅れ」が致命傷になることはないのだが、クローザーだけは違う。性格面を含め、適性の有無がはっきりと分かれるポジショニングなのである。
「7日、アルバラデホがブルペン投球した後、川口和久・投手総合コーチは『前回よりも良かった』と、調子が上向きになっていることを強調していましたが…」(報道陣の1人)
9日のブルペン投球を見た何人かのプロ野球解説者はダメ出しをしていた。
「外国人選手はスロースターターが多く、これから良くなっていく可能性だってあります。首脳陣は口に出していませんが、アルバラデホを外したリリーフ陣の編成も視野に入れているような雰囲気でした。でも、今はアルバラデホの代役を誰にするのか決めかねている状況なので、川口コーチも当たり障りのないコメントを出したんじゃないですか」(球界関係者)
新ストッパーの適任者は誰か−−。セットアッパーとしてキャリアを積んできた山口鉄也(27)、越智大祐(27)のいずれかだろう。まして、今年の巨人は外国人選手に対し、「成績不振による二軍降格」を申し渡せる契約を交わしている。
だが、救援陣の配置換えはオープン戦終盤まで持ち越されるという。
「配置換えをするとなれば、キーマンは久保(裕也=30)でしょう」(前出・同)
久保は昨季、79試合にリリーフ登板した。山口(=73試合登板)、越智(=59試合登板)のいずれかをクローザーに専念させた場合、巨人は「頼れるセットアッパー(中継ぎ)」を1人失うことになる。そもそも、セットアッパーとストッパーでは、ペナントレース中の『調整方法』が違う。セットアッパーは勝敗に関わらず、登板しなければならない。一方のクローザーは「勝ち試合」のみ。それも、「9回1イニング」だけの登板であり、山口、越智のいずれかをクローザーに配置換えした場合、巨人は自動的に“安定感を誇るセットアッパー”が「3人」から「2人」に減る。こちらの方がリスクも大きい。50試合強の登板が可能となる新たなセットアッパーが出現しない限り、山口、越智のどちらにクローザーをコンバートできないのだ。
「先発の6人枠争いから敗れた誰かが、セットアッパーにまわると思われます。内海、東野は当確。頭1つリードしているのが、藤井、朝井。新人の澤村も先発を任されるはずですし、当落ラインのギリギリにいるのは、ゴンザレス、バニスター、トーレス、グライシンガーの外国人投手たちなんです。彼らは器用なタイプではないので、中継ぎは出来ないでしょう。ベテランの藤井に連投を求めることもできませんし…」(同)
サイドスローに転向した野間口貴彦(27)、MICHEAL(34)が順調なら、ことは簡単に解決するかもしれない。野間口のサイドスロー転向はセットアッパーに専念させることを想定したもの。現時点での両投手に対する評価は、「実戦登板させてみなければ分からない」(プロ野球解説者)という。投手の頭数は揃っているのに、クローザーもセットアッパーもできない『先発タイプ』ばかりとは皮肉なものである。
川口総合投手コーチは自主トレ期間中、「外国人チームを作ろうか?」と、冗談を言ったこともあった。アルバラデホが「あと1カ月」で見違えるような仕上がり具合を見せてくれるとは思えない。今季、川口総合投手コーチは外国人投手の起用法で悩まされることをなりそうだ。