「そもそも野村監督は指揮官としての星野氏を全く評価していません。それは北京五輪で証明されました。しかし、追い込まれた星野氏がWBC監督就任要請を辞退するのは避けたかった。星野氏は必ず『若い人がやったほうがいい』などと年齢的なものを理由にするからです。野村監督はまだまだ監督を続けたいから、日本球界に世代交代の波が押し寄せるのはイヤなんですよ」(スポーツ記者)
何かにつけて年寄りぶる星野氏はまだ61歳。しきりに「これからは若い人の時代」などとカッコをつけたがる節がある。
野村監督にしてみれば、静かにフェードアウトするならともかく、全野球ファンがその進退を注目する中、勝手に世代交代宣言されてはたまったものではない。前回WBCで日本代表を優勝に導いたソフトバンクの王貞治監督は68歳、表舞台から退いて久しい長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督は72歳。73歳と球界最長老監督のノムさんはどうなのか、ということになるからだ。
「(楽天は)いまは最下位に沈んでいるので難しくなりましたが、今シーズンはAクラス入りが狙えた。来季に向けて手応えを感じているから連日コメントも冴えわたっています。野村監督は口では『オレみたいな年寄りが監督をやってるようじゃプロ野球に未来はない』などとボヤいています。しかし、本心は全く違う。野球は頭でするものという信念がある。根が目立ちたい人だから続投したいし、代表監督にも色気十分。“月見草”なんてウソっぱちですから」(同記者)
野村監督は現役時代、ONの陰に隠れて存在感のなかった自分を「日本海の月見草」と例えてみせた。しかし、本来の性格は「幼少時代に歌手になりたくてコーラス部で練習したり、映画俳優を目指したこともあったようだ」(同)という相当な目立ちたがり。大きな健康上の不安もなく、あと10年は監督業を続ける気だという。
問題は、今シーズンで3年契約が切れること。いまの成績のままシーズンが終われば「進退伺」を出すほかない。球団サイドの強力な慰留がなければ“監督浪人”は確実となる。せっかく著書も売れているし、息子の克則は楽天1軍バッテリーコーチとして修業中なのに、路頭に迷う可能性さえ出てきてしまう。サッチーこと沙知代夫人が激怒するのが目に浮かぶようだ。
前出の記者は「今シーズンは桑田、清原のKKコンビも引退し、プロ野球界にとって節目の年になる。江川、掛布ら充電期間の長すぎる監督候補もわんさか控えているし、解説者も増えすぎた。焼き肉屋でも始めないかぎり、間違いなくOBはあぶれてしまう。球界にも高齢化の波は確実に押し寄せているんです」と解説する。
つまりは、さしもの知将も世代交代の荒波にのまれる危険性があるというのだ。そこまで計算して星野ジャパンのヘッドコーチ役を買って出たのだとすれば、さすがID野球の始祖。「ヘッドコーチが必要? オレがおるやないか」発言は軽口ではなかったようだ。
○星野&野村のビミョーな関係
野村監督は星野ジャパンの惨敗直後、「投手出身の監督は視野が狭い」とばっさり。契約最終年のペナントで勝負をかける野村楽天のエース岩隈を招集せず、まだ若いマー君に経験を積ませた星野監督を、完全に裏切る発言だった。
「“星野セレクト”の背景には、2001年オフに野村氏が阪神監督を辞任する際、後任に推薦してくれた“お返し”の気持ちもあったはず。しかし、野村氏は星野氏の手腕を買って推薦したのではなく、ぬるま湯体質の選手たちに『鉄拳制裁』できるタイプならばだれでもいいと思っただけ。それほど恩義に感じられる覚えがない。それでうっかり口を滑らせたようだ」(スポーツジャーナリスト)という。
そのお詫びもこめてのヘッドコーチ立候補発言だったのか!? WBCの選手選考について「4番は松中(ソフトバンク)、キャッチャーは嶋(楽天)や」などとリップサービスしまくり。最終的には「星野にリベンジさせてやれ。俺は観客や」とまとめている。
一方、その本心については、本紙27日付号で報じた通り、「愛弟子でIDキャッチャー出身の古田敦也氏を代表監督に就かせ、うしろで糸を引きたい気持に変わりないはず」(スポーツ紙デスク)との見方も。しばらくは野村監督の動向から目が離せない。