かつて1シーズンの暴投記録を更新するほどの荒れ球で暴投王と評された姿はそこにはなく、球速よりも制球を意識した見事な技巧派ピッチングで2回を抑えた。
まだ紅白戦ということで判断はできないが、制球力があれば球速が多少落ちても元々、評価が高い変化球とのコンビネーションで充分にやっていけるはずだ。
以前は奪三振王を獲得するほどの剛腕が持ち味でキレの良いスライダーが大きな武器だったが、その反面、制球の問題があり、好調時と不調時の落差が激しかった。
突然、四球や暴投を連発し、ストライクを取りにいったところを狙い打れるという悪いパターンで崩れるケースがあった。しかし技巧派への転身が完璧になれば、和田、杉内と共に先発陣の一角として活躍が期待される。
投球スタイルのチェンジに慣れるだけではなく、今年から採用される統一球の特性をつかみ、慣れることも求められる。打者からすれば「飛びにくく」投手からすれば「滑りやすい」といわれ、各球団の選手も慣れるのに四苦八苦しているボールだ。新垣はそれをしっかりクリアすることができるだろう。ここ数年はケガもあり、不本意なシーズンを過ごしていたが2011年のシーズンは復活に懸ける。
ファンの中には不安定でも荒れ球ピッチングが魅力だという声も出ているが、試合に勝ち続けることで新垣渚のイメージが安定度抜群の技巧派投手に変わることだろう。