彼女がまだ幼稚園の年中ぐらいの頃の事。兄と社宅の庭でスーパーボールで遊んでいた所、ボールが植え込みに入ってしまったので探そうと茂みに潜り込んだときだった。彼女の前に、2〜3センチほどの、緑がかった茶色の奇妙な虫が「二本足で踏ん張って立っていた」という。
その生き物は長方形の体に細長い手足、腕も脚も一対ずつだったため少なくとも虫ではない、と判断。しかし人間のような立ち姿にもかかわらず非生物的な感じがしたという。ただ、この生き物は手に指揮棒や鞭のような物を持っており、行動には知性が感じられたという。
彼女等がふと気づくと、生き物の近くの足元から小さな穴が空き、多くの小さな生き物が現れてきていた。先の生き物は、地面から一列になって現れてくる小さい生き物たちに棒を振って何か指示をしたという。すると生き物たちは茂みの奥へ動いていき、やがてめいめいが何かを手に持って戻ってきた。そして、「隊長格」らしき生き物が棒を振り上げると、再びぞろぞろと穴の中へ戻っていったという。
全員が穴に入った所で、「隊長格」の生き物はひょいと穴の中に飛び込んだ。その途端、生き物が出て来た穴はふっとかき消えて、もとの土は全く穴など無かったような状態に戻ったそうだ。
多くの部下達はともかく、「隊長格」は小さいながらも「大人の威厳を漂わせている」ように見えたという。
果たして、この生き物は何なのか。箱ミネコ氏はこの体験を「幼児性幻覚」の一つではないかと考えているようだが、近年は「小さいおじさん」なる小人のようなものの目撃例が相次いで報告されている。
彼女が見たものも、一風変わった「小さいおじさん」だったのだろうか。
(画像は増田よしはる氏によるもの/山口敏太郎事務所)