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魔女狩り将軍マシュー・ホプキンスの謎(中編)

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画像はイメージです。

 国王派と議会派との内戦下にあった17世紀半ばのイングランドで、魔女狩り将軍を自称するひとりの男が、身寄りのない老人などを次々と魔女に仕立て上げて処刑したばかりか、地域の住民から魔女処分手数料を徴収して財を成した。現代では想像もつかないような詐欺を働いた男の名はマシュー・ホプキンスといい、犠牲者は230〜300人にも達するという。だが、彼がどのような人物だったのか、実はほとんどわかっていない。

 ホプキンスの前半生は現在でも謎に包まれており、イングランドのサフォーク州で1619〜20年頃に牧師の息子として生まれたこと、兄弟が6人いたらしいことなどがわかっている程度だ。ただし、かなり高度な教育を受けていたことは間違いなく、英語の他にラテン語についても十分な読み書きができた他、フランス語についても意思疎通に不自由しないほどの語学力を備えていた。そして、相当に高度な法律知識を有しており、特に魔術及びその取り締まりに関する法律や船舶や海事関連の法律、恐らくは貿易関連の法律にも詳しかったとされている。

 しかし、ホプキンスがこれだけの知識をどのようにして習得したのか、そして魔女狩り将軍を自称する前はなにをしていたのかについては、具体的な情報がほとんど残されていない。高度な法律知識を有していたことから、法律家もしくは弁護士をしていたとの説も唱えられており、それなりに支持されてもいるが、裏付ける史料に乏しく、残念ながら推測の域を出ない。また、イングランドの政界や宗教界に深い人脈があったこともほぼ間違いないのだが、ホプキンスの交友範囲についてはほとんどわかっていないのだ。

 いくら社会制度が発達していなかった17世紀といえども、ふらりと現れた素性の全く知れない人物が魔女狩り将軍を自称し、住民を魔女認定して処刑した挙句、魔女処分手数料をせしめることが可能なのだろうか?

 ホプキンスは本当に単独で300人もの魔女を告発、処刑できたのだろうか?

 ホプキンスは本当に有力者の助力、支援を得ていなかったのか?

 そういった疑問に答える情報はなく、謎は未だ解き明かされていない。

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