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福島原発「作業員6000人」の現実(第2弾)ジャーナリスト・水石徹 作業員が内部告発! 日給4100円ピンハネ横行 原発ヤクザの資金源全真相(2)

 傍目には“至れり尽くせり”のようだが、桜井さんに言わせると、
 「原発敷地内の現実は、そうじゃない。至れり尽くせりから最もかけ離れているのがカネの問題」
 つまり、賃金が低すぎるということ。そうさせている最大の元凶は、元請け、下請け企業などによるピンハネの横行である。

 “猫にマタタビ、赤ん坊にはお乳”と言うが、俺たちにはカネしかない。ところが、俺たちはピンハネのルツボに陥れられている。
 西日本出身の30代の男で、1日4100円で働いている作業員がいる。そいつから直接聞いた仲間の話では、ヤクザにピンハネされている。闇金から借金したものの、利息が膨らんで返済できなくなり、その裏債権がヤクザに渡り、むりやり福島原発に送り込まれたようだ。

 九州のヤクザにしろ、四国のヤクザにしろ、原発作業員を福島に送り込むためには、関東の某ヤクザ組織を通さなければならない。それが裏社会の鉄則みたいだ。それはともかく、なぜ、4000円ではなく半端な4100円かというと、男はヤクザからこう脅されたそうだよ。
 「4(死)の境目にあることをしっかり覚えておけ。プラス100円は温情というやつだ。だから、カネを返し終わるまで逃げ帰ったり、トンズラしたりするなよ。そんなことしたら、マイナス100円どころか、本当の死を迎えることになる」
 ってね。見るからにヤサ男なので、気の毒に思えてならんよ。しかし、誰かに脅されてはいないものの、ピンハネに関しては俺だって似たようなものだ。

 2年前は、原発作業員1人に対して、1日当たり5万円ものカネが国、東電から出ていたはず。それなのに、日当は1万4000円。その後、危険手当という名目で国から1万円、次いで東電からも1万円が支出されることになった。
 ところが、同じ危険な作業をやっているのに、日当は1万6000円。2年前と比べて2000円しか上がっていない。国、東電を合わせた2万円の9割がどこかに消えている−−。
 こんなデタラメが堂々とまかり通っているのが事故原発敷地内の現実だ。しかも、ピンハネを防ぎ、作業員に確実にカネが渡るよう、銀行振込にするとか何とか言われていたが、それが今もって実現していない。相変わらず手渡しだよ。

 昔、暴走族で悪名を轟かせた孫請け(2次下請け)の社長から、支払いのとき、こう言われてね。
 「来月も放射能と熱中症に万全の注意を払いながら頑張ってくれ。作業中は、上から“あれやれ、これやれ”の命令ばかりで気にくわないこともあるだろ。でも、お国と国民のためだと思って我慢してほしい」
 バカも休み休み言え、と怒鳴りつけたくなるね。ピンハネしたカネで高級外車を乗り回し、ある除染作業員の奥さんを寝取ったうえ、その娘まで手籠めにしたといわれている。騒ぎを片付けるために500万円出したらしい。

 毎月1回、午後4時から1時間ほど安全大会が開かれ、これには全作業員の8割が参加する。出られないのは遅番だけ。先の元暴走族社長もほとんど毎回参加するけど、このときだけは神妙な顔つきでかしこまっている。
 孫請けだから、俺たちの前では威張っていても、元請け、下請けの前では立場が弱い。相手が東電幹部なら、神様同然に見えるんじゃないか。ま、何もできやしないのに、東電の連中も威張りくさっているけどね。

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