前走の淀短距離Sは圧巻のレースだった。好スタートからアッという間に主導権を握り、道中もそのまま軽快に飛ばしていく。4角でサイキョウワールド(3着)が1馬身後方まで詰め寄ったが、差が縮まったのはそこまで。直線に入ると鞍上のムチに応えて再加速、後続を突き放してみせた。
「初めて乗ったけど、いいスピードを持っているね。今日は3角でもう大丈夫かなと思ったほど。これなら重賞でも十分通用するよ」と騎乗した四位騎手。宗像調教師も「自分のペースでいければ、あれぐらいはやれる」と胸を張った。
その後は美浦へ戻り、ここに照準を合わせて調整している。「前走の疲れもなく、馬は元気いっぱい。順調にきているよ」と同師。28日には坂路追いを2本消化。軽めのケイコながら、躍動感あふれる動きを披露した。1週も休ませないで乗り始めたことからも、体調は万全といってよさそうだ。
これまで重賞は5回挑み、(14)(2)(14)(9)(4)着とことごとく“壁”に阻まれてきたが、「能力的に足りないとは思っていない」とトレーナーはキッパリ。「重賞だとスピードのある馬が多いが、控えるとダメだから自分の競馬に徹するだけ。前走のような形になれば、十分やれると思うよ」と今回も攻めの姿勢を崩さない。
昨年は淀短距離S→シルクロードSを連勝したファイングレインが、その余勢を駆って高松宮記念も制した。ここを勝てば、ショウナンカンプ(2002年)以来となる関東勢の高松宮記念Vが見えてくる。