「選手以上に原監督の方が強行日程となりそうです。25、26日は韓国のLG、斗山と試合が予定されていて、その翌27日がドラフト会議ですからね。29日のCS初戦まで、『ドラフト候補のリスト』のことも考えなければならないので大変だと思いますよ」(関係者)
だが、この宮崎での練習スケジュールでは『重要事項』が“欠落”していることも分かった。夜間ミーティングは「一切行わない」というのだ。近年、CSや日本シリーズに向け、直前・短期キャンプを行うのも珍しくなくなった。その目的はキャンプ形式の練習によって万全の調整を行い、チーム全体に緊張感を与えるためだ。過去、その直前キャンプを実施したチームは『対戦チームの攻略法』、つまり、夜間ミーティングにも重点を置いてきた。
「むしろ、ミーティングの方を重要視する監督もいました。短期決戦ですから、対戦投手をいかに攻略するか、相手打線の特徴を掴むかが勝敗を分けます。データとは、シーズンを通してスコアラーの報告通り巧くいったものもあれば、そうではないものもあります。その確認を…」(プロ野球解説者の1人)
極端な言い方をすれば、ミーティングを行わないのなら、本拠地球場や自軍施設で練習しても構わないわけだ。わざわざ、遠征して泊り込む必要もないだろう。宮崎入りした直後、報道陣の質問もこの点に集中した。原辰徳監督(53)は「(選手に)疑問があるなら、聞きに来なさい、と。それが本来のクライマックスシリーズ」と答えていたが…。
「ペナント最終戦を代打・長野のサヨナラ満塁弾で飾りました。それに、6連勝でペナントを終了させています。帳尻合わせと言っては難ですが、外国人選手も尻上がりに調子を戻してきました。故障者続出の東京ヤクルトとは対照的です」(前出・同)
本番直前で慌てるのは、確かに良くない。しかし、この余裕も気になる。東京ヤクルトには『8勝12敗4分け』と、今季は負け越している。ロードは31勝34敗7分け。3位チーム・巨人はアウェイ・神宮球場、第2ステージに勝ち上がったとしても、ナゴヤドームが決戦の地となる。
「村中(恭兵=24)がフェニックスリーグで復調の木佐氏を見せています。村中は故障で今季4勝ですが、うち3勝は巨人戦から挙げています。初戦は左腕・石川、2戦目に村中か、館山が先発するとそれぞれ予想されています。由規を故障で欠いても、増淵が中継ぎ待機すると聞いていますし、赤川だっています。故障者続出でも、巨人有利とは言い切れない」
CS進出を決めたパ・リーグ球団の偵察部隊は、セ・リーグの第1ステージを「五分五分」と予想していた。前出のプロ野球解説者はこう言う。
「ミーティングはやらないというのはあくまでも表向きで、本当は違うのでは。ヤクルトには苦手投手も多いので、その中身が露呈しないよう、そういう言い方をしたのかもしれません。原監督の陽動作戦では? 選手各位の外出にも(門限など)かなりの制限があるというし…」
中日対策にスコアラーを大量に割いたため、東京ヤクルトに対しては“自力”で勝ち上がらなければならなくなったという声も聞かれたが…。
ペナントレースが終了して約1週間も「間」を置くのはもったいない。一部メディアも指摘していたが、ペナントレース、CS、日本シリーズの日程が“間延び”するのは、せっかく盛り上がった野球熱に水を差すようなものだ。夜間ミーティングを「やる、やらない」の心理戦より、CSの日程を前倒しした方がファンはもちろん、選手も精神的にラクだと思うのだが…。
※宮崎空港での原辰徳監督のコメントは共同通信社配信記事を参考にいたしました。