猛暑、インフルエンザ騒動と慌しく過ぎた2007年の夏。だがベッラレイアは最高の夏休みを過ごしたようだ。その成果は褐色のシルエットにはっきり表れている。
「春の体重に戻したかったんだ」と平田師はうなずいた。デビューが今年1月と遅く、そこからクラシックまで強行軍が続いた。桜花賞は間に合わず、オークスこそ2着したが、新馬戦で460kgあった馬体重は444kgまで減っていた。身を削り、挑んだ春。悔しさを胸に秘め、夏を鍛錬にあてた。
ボリュームアップ作戦は見事に成功した。胸前とトモにしっかりとした筋肉が張り付き、たくましい体になった。
「今は460kg台。レースでも450kg後半まででは出せると思う。有意義な夏休みを過ごせて完成に近づいてきた」と師はつぶやいた。さらに「背が伸びて大きくなったせいか、30kg近く増えても太く見えない。むしろ引き締まっている。顔つきも大人っぽくほっそりしてきたね」と確かな成長を感じ取っている。
春はレースとケイコを重ねるたびに精神面でもイライラが募っていたがもう大丈夫。そのおかげで課題だったゲートもすっかり良くなっている。
動きも文句なしだ。5日に栗東坂路で行われた1週前は800mを51秒8→12秒3。春もケイコは動いたが、これだけの好時計を楽々弾き出すのだから、師の「申し分ない仕上がり」という言葉もうなずける。
インフルエンザ騒動が起きる前の8月8日に帰きゅう。それから順調に階段を上ってきた。1番人気に推されたオークスはウォッカもダイワスカーレットもいなかった。「押し出されての1番人気だった。今回がGI馬との初対決になるんだね。でも不安より楽しみの方が大きい」
そして鞍上には最高の助っ人・武豊を迎えた。1週前に騎乗してすでに感触はつかんでいる。「ダイワをマークするように後ろからの競馬になるかな。まあ、一番力を出せる競馬を分かってくれているでしょう」
人にも馬にも、平田師は全幅の信頼を寄せている。
【最終追いVTR】1週前に実質的な追い切りを済ませている関係で、今朝(12日)は坂路(800m53秒3)を馬なりで軽く流す程度となった。ゴール前でも反応を確かめる程度だったが、ラスト1F12秒0の好ラップ。それだけ体調のいい証拠だろう。