6月18日の日本ハム戦、山田は第一打席で左肩直撃の死球を被った。治療でいったんベンチに下がったが、約10分後にフィールドに帰って来た。しかし、その後の3打席は快音ナシ。前日は弾丸ランナーの本塁打を含む4打点と大活躍だったが、2日連続とはいかなかった。復活までもうしばらく時間が掛かりそうだ。
「WBCの後遺症というより、まさにスランプ。でも、WBCの影響がないとは言えません。本来、キャンプでしっかり身体を作る時期に国際試合を戦ったわけですから。対戦投手も、今まで以上に内角の厳しいところを突いてくるようになった」(プロ野球解説者)
「打ち損じが目立つ」と評する声も聞かれた。自分では仕留めたつもりでも、バットを振るスピード、力加減などで微妙なズレが生じているのかもしれない。
「DeNAの筒香、巨人の小林、日ハムの中田翔なども不振で苦しみました。坂本勇人(巨人)もスタメンを外された試合もありました。国際試合による精神的な疲れが影響しているのかもしれない」(同)
キャンプ、オープン戦シーズンに行われるWBCによる後遺症がペナントレースの前半戦に影響を与えた。その「国際試合による疲労感」だが、侍ジャパンが国民の期待を背負って戦う次の大舞台は東京五輪だ。オリンピックは7、8月に行われ、プロ野球各球団はペナントレースの中断も含めた協力体制を決めている。
現時点で五輪を戦う侍ジャパンはプロアマ混合チームになる可能性もあるが、12球団は金メダル獲得に向け、主力選手を派遣する。その主力選手が五輪の国際試合で調子を落とす、あるいは、国際試合による興奮の反動が出るとしたら、それはペナントレースのもっとも大切なシーズン終盤となる。優勝戦線にいるチームの監督は、主力選手の派遣を躊躇うかもしれない。
「プロ野球の選手会はWBC終了からペナントレース開幕まで十分な休養期間が取れなかったと、不満をもらしていました。WBCの熱気をそのままペナントレースに反映させたいとする経営陣の考えも理解できる。経営陣からすれば、国際試合とペナントレースとの並立について、選手会と事細かに話し合いたくないのがホンネ」(ベテラン記者)
山田の不振がこれ以上長引けば、侍ジャパンの選手招集についても影響しそうだ。
(スポーツライター・飯山満)
写真・セカンドを守る山田哲人