福田首相は、すでに5月ごろに周辺に「辞めたい」と漏らしていたという。国会運営では「ねじれ国会」で法案が思うように通らず、ここにきて公明党が臨時国会の召集時期で対立するなど自公政権にほころびが目立ち始めていた。永田町の政界筋は、その背景をこう説明する。
「来年、都議選を控えているため、公明党は少しでも早い時期に総選挙をやりたがっているのは周知の事実。それに加えて、福田政権の支持率が一向に回復せず、『福田ではもう駄目だ。一時的に議席は減らしたとしても、総選挙を早くやった方が傷が浅くて済む』と判断した。これだけが(福田首相の)辞任の理由ではないが、昨夜の会見でも公明党への恨みつらみを漏らしていたので分かるように、引き金になったのは間違いない」
与党であることのうま味を知っている公明党。民主党との連立も視野に入れていたとしてもおかしくない。
ところで、“福田後”はどうなるのか。総裁選の実施は必然と見てよく、国民にそこそこ人気のある麻生幹事長が挙党体制を築くため、全会一致で選出されるのか。全国紙の政治部デスクが解説する。
「両院議員総会で選ぶか、総裁選で後継を決めるかは、今日にもはっきりすると思うが、おそらく総裁選になる」
と言い、その根拠に民主党の党代表選と自民党内の事情を指摘する。
「民主党は小沢代表の無投票選出が確定的。自民党が両院議員総会で選ぶとなれば、民主党との違いを強調できない。それに、党内からも麻生氏を快しとしない勢力から反対の声が上がるのは必至。全国の党員を巻き込んだ選挙になると見て間違いないでしょう」(前出・政治部デスク)
それでは、対抗馬に名乗りを上げるのは誰なのか。自民党の有力議員は「ずばり、小池百合子前防衛大臣だ」と断言。
さらに続けて今後をこう予測する。
「神輿を担ぐのは国家戦略本部会長代行の中川秀直。さんざん無視されてきている『上げ潮派』のひとりで、敗戦覚悟で戦いを挑んでおかしくない。小池は人気の面では麻生にひけは取らない。それに、ここで負けても次があると読んでいるはずだ」
総裁戦実施で自民党にメリットもある。どちらが総裁、ひいては首相の座に就いても自民党の支持率回復が見込めるからだ。
「ご祝儀人気といっていいですが、もし40%前後にでもなれば総選挙をやって勝つ可能性が出てくる。したたかなのが自民党。転んでも、ただでは起きませんよ」
国民の生活に直結することとはいえ、当分は楽しめるお祭りになる?