菅野というと、現在は育児に専念するために仕事をセーブしている。専業主婦が板に付いたのか、ときに多忙な夫の撮影所まで差し入れに出向くようで、まさに良妻賢母だ。
そんな菅野だが、1992年にバラエティ番組『桜っ子クラブ』(テレビ朝日系)の番組内ユニット「桜っ子クラブさくら組」のオーディションに合格して芸能界デビュー。当時は、B級アイドルの一員として、ダンスや歌などのパフォーマンスもこなしていた。
1993年のドラマ『ツインズ教師』(同)の生徒役で女優デビュー。95年に連続テレビ小説『走らんか!』(NHK系)の準主役に抜擢され、96年にはドラマ『イグアナの娘』(テレビ朝日系)で主役を演じ、高い演技力が評価された。
菅野は、若くして人気女優としての地位を確立し、さらなる挑戦を試みた。だが、この“挑戦”を巡って“奇行女優”のレッテルを貼られ、とんでもない疑惑まで浮上。“黒歴史”と化してしまったようだ。
1997年8月、菅野は20歳の誕生日にヘアヌード写真集『NUDITY』(インディペンデンス)を発売。だが、極秘のはずである写真集が、発売前日に一部スポーツ紙にスッパ抜かれ、週刊誌のグラビアにも菅野の過激なヘア写真が掲載されたのだ。
「全裸でシャワーを浴び、濡れた裸体をタオルで拭く姿やベッドに横たわるシーンなどを撮影。薄目を開けた菅野の頬は紅潮し、口を半開きにして汗ばむ過激すぎる内容で大きな話題となった」(芸能関係者)
発売会見会場には報道陣が殺到し、緊張感漂う中で菅野は声を震わせ、今にも泣きそうな顔で「テレビ、新聞、雑誌上での内容の公開は一切ダメ」と怒りをあらわにした。
だが、この会見が功を奏し、発売当日に写真集は初版10万部を即日で完売。ところが発売から4日後、菅野は写真の漏えいを不服とし、無断で掲載したスポーツ紙と雑誌に対して抗議するために急きょ会見を開いたのだ。
しかし、マスコミの興味は“官能”的な仕上がりの写真集を出す経緯だった。そして、「ヌードになったことを菅野さんのお友達はどう思っているか?」という質問が飛ぶと、菅野は「10代の本当の私を記録しておきたいと思った」と語り、いきなり号泣した。
「そもそも清純派で通していた菅野が、なぜ突然脱いだのかが不可解である。まず、出版前から当時の所属事務所と一悶着があり、事務所の借金返済のために脱がされた説があるという。さらに、カメラマンの宮沢正明氏とは熱愛中で、官能的なショットは“ハメ撮り”作品と言われ、最終的には騙された説まで浮上。真相は不明だが、気の強い菅野が公の場で顔を覆いながら10分も泣き続けた姿が何かを物語っていたのではないか」(芸能ライター)
結果的に、スキャンダル効果で写真集は80万部のベストセラーに。後に、事務所の承諾なしに版元が無断で増刷したとされる4億円の印税を巡ったトラブルも勃発し、何かとお騒がせな写真集となった。
菅野は、2016年10月に出演した『あさイチ』(NHK系)で、自らの“黒歴史”について触れている。写真集を発売した理由として、「精神的にタフにならなきゃいけないと思って、(写真集が)ショック療法みたいになってしまった」と打ち明け、「精神的に強くなりましたね。タフになりすぎちゃった」と出版の効果を笑顔で語った。
菅野を大女優にのし上げたのは、“ヌード写真”のおかげと言っても過言ではない。人間“裸一貫”になることが人生の転機につながるのかもしれない。