『クレヨンしんちゃん』と言えば、テレビ朝日では『ドラえもん』に次ぐ人気長寿アニメだ。映画も毎年制作され、今年の4月には『映画 クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ〜拉麺大乱〜』が公開されたばかりだった。
今回の突然とも言える主演声優の降板は、番組公式サイトによると「しんのすけの声を保ち続けることが難しくなった」と矢島本人から申し出があり、協議が重ねられた結果とのことだ。ただ、矢島の出演は6月29日放送分が最後。7月が改編期に当たるとは言え、発表から降板まではわずか1ヶ月しかない。『クレヨンしんちゃん』に関係するスポンサーからは「あまりに突然すぎる!」と怒りに近い声も上がっているという。
『クレヨンしんちゃん』はファミリーアニメの「代表格」とみなされている。現在はテレビアニメ、劇場版はもちろん、牛丼チェーンの「すき家」、ウォーターサーバーの「クリクラ」、注文住宅の「レオハウス」など一般企業のCMキャラクターにも使用されているのだ。
これらの企業CMには、もちろん矢島晶子の演じる野原しんのすけがアニメで登場している。7月以降はこれらのCMが一斉に差し替えられる可能性が高い。しんちゃんを使用している企業CMは7月以降、新声優を迎えた撮り直しなどの対応に追われることになる。最悪の場合、スポンサーが「降板」する危険性もあるという。
また、今回の降板劇について声優界に詳しい某記者はこう分析している。
「テレビ朝日のアニメでは2005年4月に『ドラえもん』が大山のぶ代さん以下、全てのキャストが交代となりました。この時ばかりはテレビアニメだけではなく、ドラえもんをCMに起用している関連企業への影響を考え、半年前から新聞紙上で発表するなど準備に準備を重ねました。それに比べ、今回の矢島さんの残り1ヶ月での降板発表はあまりに急。矢島さんの言葉が真実であるならば、矢島さんの喉はかなり危険な状態だったのではないでしょうか」(某芸能記者)
テレビアニメもバラエティ番組と同じように、明らかに雰囲気が変わってしまう「テコ入れ」は番組そのものの寿命を短くすることもある。『クレヨンしんちゃん』は27年目にして大ピンチを迎えているのかもしれない。