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宝塚記念(GI、阪神芝2200メートル、28日) ディープスカイ 春最終戦に全力投球

 勝ったと思ったら、負けていた。呆然と現実を受け入れるしかなかった安田記念(2着)から中2週、ディープスカイがその悔しさをエネルギーに変え、闘志をたぎらせている。

 「最高のデキに仕上げた。大阪杯から安田記念、そしてここと全部勝つつもりだったけど、なかでも最大の目標は今回だったわけだから。ウオッカが出ようが出まいが関係ない。悔いのない仕上げをするだけ」と昆調教師は自らに言い聞かせるようにつぶやいた。
 安田記念の直線、だれもが一瞬はディープスカイの勝利を信じただろう。だが、絶体絶命の不利をはねのけたウオッカの奇跡の末脚がすべてを暗転させた。
 「勝ちパターンだったよね。あれで負けるんだから、東京のマイルではウオッカが一枚上だったということ」と牧村助手は淡々と振り返った。
 しかし、究極の脚を使ったことで、ウオッカは疲れが抜けず、ここを回避した。一方、無事でレースに出続けることも、プロである競走馬にとって大切な使命だ。それを貫いたディープに今度はチャンスがめぐってきた。

 問題は勝ち方。負けることはプライドが許さない。17日の栗東坂路で行われた1週前は800メートル53秒0、ラスト1F12秒3、さらに21日にも55秒6、12秒4。入念に乗り込まれ、鋭い動きを連発している。
 「昨年もそうだったけど、使えば使うほど充実してくる。気持ちも随分乗ってきた。動きに迫力があって、デキはここ2戦とは比べものにならないぐらいにいい」
 春はこれが最後。もうお釣りはいらない。ダービー馬の、男馬の意地を爆発させるだけでいい。「ダービーを勝って、ジャパンCが2着。二二が守備範囲なのはもちろん、大阪杯も負けはしたけど59キロを背負って意地は見せた。だから阪神も心配ない。これといったマイナス材料がないんだから期待は大きい」
 安田記念と宝塚記念を連勝するのが秋の凱旋門賞挑戦の条件だったが、今回の内容によってはプランが再浮上する可能性もある。オーナーを悩ませるほどの強さ、それを見せるしかない。

 【最終追いVTR】四位騎手を鞍上に、坂路で一杯に追われて800メートル51秒9→37秒9→12秒7。降雨の影響でかなりぬかるんだ不良馬場だったにもかかわらず、好時計をマークした。馬体に太め感はなく、気合乗りも上々。心身ともに上積みは十分で、申し分ない状態に仕上がった。

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