千代田線の乃木坂駅を降りると、東京ミッドタウンという“街”はすぐそこだった。
ここは、六本木ヒルズのある六本木のど真ん中とは、六本木交差点を隔てて北に位置するエリアで、南が六本木の中心部であるとすれば、嘘のような静かなエリア。
来歴としては、毛利の屋敷があった六本木ヒルズに対して、米軍基地→元・防衛庁という東京ミッドタウンなので、なんとなくいわくありげな土地に大規模開発がなされるんだなあ…という点では似ている。しかし、北エリアはさらに明治天皇に夫婦で殉死した乃木将軍の乃木神社や、青山墓地も程近く、霊験あらたかな空気感だ。同様に、“街”の内部にもなんとなく落ち着いた雰囲気が漂っていた。
ミッドタウンのプレッセプレミアムという高級スーパーで銀座木村屋のあんぱんほかを買い込み(笑)、<ブラタモリ>でやっていた、星条旗通りにある、“江戸の道と明治の道”が段差をもって並んでいる場所を見に行く。周辺には、古い店もあり、東京の生活の匂いも残っていた。
新東京美術館(現在、閉館時間を早め、空調も止める等々節電に協力中の様子だ。)の威容を眺めつつ、ラーメン店『五行』に初来訪。で、焦がし醤油を一杯。ほんの短時間の散策だったのだが、今平和な時はいいものだなあとつくづく感じる…。
帰路、名前はわからないが、ビジュアル系バンドのメンバーでは…と思われる人が女性と散歩していた。(誰だっけ? 彼女とか奥さんとかいたか?)やっぱりここは、華の六本木のエリアなのだなあ、と最後に感心することになった。
<橋本充太>
神奈川県出身。物書きを生業とする変種。「じゃあ小説家ですよね!」と時折聞かれるのが悩み。違うので、「別に」と答えている。新聞社や雑誌社など広範に及ぶ根城を拠点に、エンタメ分野を中心に執筆。