韓国の人は寒い冬はもちろん、暑い夏も、わざわざ辛い鍋を食べてたくさん汗をかき、体調を整えると言います。いくら激辛ブームとはいえ、日本ではさすがに夏よりも冬の方が辛い鍋を食べる機会が多いですね。韓国で鍋料理は海鮮鍋やカムジャタンのように数人でつつく場合と、キムチチゲやスンドゥブ(豆腐)チゲなど、定食のような形で小さな一人用の鍋で食べる場合があります。
○今の季節にピッタリの韓国鍋
「カムジャタン(じゃがいもと豚の骨肉の鍋)」
カムジャは韓国語でじゃがいもの意味で、カムジャタンはじゃがいもと豚の背骨や尻尾といった脊髄の部分を煮込んだ鍋料理。玉ねぎ、長ネギなどの野菜を入れ、テンジャン、粉唐辛子、コチュジャンといった香辛料や調味料を使い味付け。ジャガイモの食感が辛さをマイルドにします。
「ヘムルタン(海鮮鍋)」
チゲ鍋などに、干したタラを使ったり、魚のダシは唐辛子やコチュジャンの味によく合います。韓国の港町・釜山では魚介類が豊富なため、鍋を含め、海鮮料理が有名です。魚やエビ、カニ、タコ、イカ、青菜もいっぱい入ったヘルシーなお鍋。日本ではあまり鍋に使わないムール貝や、珍しい貝が入っているのも特徴です。少々塩分が強い味になります。
「ブデチゲ (部隊チゲ、兵隊さんのお鍋)」
肉、野菜、豆腐などといった一般的なチゲの材料と共に、ソーセージ、スパムに代表されるランチョンミートといった缶詰の加工肉や、インスタントラーメン放り込んだ、若者向けの鍋。軍隊の若い兵士が共同生活をする中で広まったともいわれます。
脇役だけど、大事なトッポギ、しめのラーメン。
白い棒状のお餅トッポギ、しめのインスタントラーメンは脇役なれど大切な韓国鍋の具材。韓国鍋は、ご飯とゴマ油とキムチを少量の煮汁で炒める即席チャーハンのしめが一般的なようです。
夏の疲れた体にピリリと辛い香辛料の刺激は、適度な高揚を与え、体を元気にさせます。また韓国鍋によく合うマッコリはビールほど体を冷やさず、味がマイルドで、なにしろ安く飲めるのが魅力。日本よりも不景気であるはずの韓国の街にたくさんの人が集い、なぜか活気に溢れて見えるのは、安く美味しい鍋と酒があるからかもしれません。ニンニクの香りや真っ赤な韓国鍋の色を見ているだけで、食欲や活力が沸いて来ます。