報道によると、阪神フロント幹部が渡米することになり、昨年オフに一時期、食指を動かした松井の獲得再燃が注目されるという。というのも、先例があるからだと指摘する。
昨年8月、阪神・南信男球団社長がヤンキースの招待で渡米した際に、マリナーズ・城島健司が日本球界復帰の意思を持っているという情報をいち早くキャッチ。他球団に先駆け、城島電撃獲得に成功している。それだけに、球場の施設面などの視察を目的とする今回の球団幹部の渡米で、松井の周辺最新情報を入手、獲得につながる可能性もあるというワケだ。
故障の能見、岩田の左腕コンビ、不調の右腕・安藤と、主力投手を欠きながら今季の阪神が、巨人に次いで2位と健闘しているのは、4年契約総額20億円といわれるメジャー帰りの城島獲得効果が大だ。それだけに、二匹目のドジョウとして、再び松井獲得に動き出すメリットはある。さらに、アニキこと金本知憲の引退問題も抱えている。
右肩痛のために守れず、連続イニング出場記録がストップした金本は、その後も悪戦苦闘している。代打の切り札に回り、パ・リーグ主催の交流戦はDHで登場したが、リーグ戦再開では再び代打に戻り、左翼の定位置復帰のメドは立っていない。
「金本のことは、本人の意思もあるだろうし、今後、いろいろ検討する必要があるだろう」と、球団関係者は語り、最悪引退のケースも視野に入れた話し合いになることを否定していない。もしも、金本引退となれば、代わって「左翼・4番松井」というのは、阪神にとって最高のインパクトのある新布陣になる。
「DHだけでなく、左翼も守って欲しい」という、ソーシア監督のオファーが決め手になり、エンゼルス入りした松井は、DHだけでなく、左翼の守備もこなしている。DHのないセ・リーグに復帰してもなんの問題もない。1年契約だから、昨オフ同様に今オフも去就を巡り、日米球団入り乱れての争奪戦が起こるのは間違いないだろう。「ウチはシーズンが終わってから来年のことは交渉する球団方針になっている」とエンゼルス幹部が明言しているだけに、ぎりぎりまで去就が決まらないから、なおさら激化するだろう。
昨年シーズン中に、「日本球界に復帰するのならば、天然芝の素晴らしい甲子園でプレーして欲しい」と、真っ先にラブコールを送って、巨人をあわてさせた阪神。「背番号55は大田に預けてあるだけ。ぜひ戻ってきて欲しい」と巨人・滝鼻卓雄オーナーは、必死に巻き返そうとして、失笑を買っている。それなら、最初から背番号55を空けて待っているのが筋だからだ。松井サイドから「愛着のある背番号をルーキーにいきなり与えるということは、巨人に戻ってくるなということでしょう」と不興を買ったために、あわてて釈明したのだが、語るに落ちている。
「日本球界に復帰するかどうかは決めていませんが、阪神には感謝しています」と、松井はいち早い阪神のラブコールに好意を示した経緯がある。
阪神が今回も松井最新情報の収集に抜かりなく動くことは間違いないだろう。昨年に続き、阪神の先手必勝の構えから巨人との松井争奪戦が始まっている。