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「時代」を彩った男と女・あの人は今 45代横綱若乃花・花田勝治さん

 花田さんは平成5年3月に相撲協会を定年退職し、「二子山」の株やまな弟子たちを実弟の故二子山親方(元大関貴ノ花・花田満さん)に譲り渡したあと、このさまざまな思いのこもった旧二子山部屋を大改造。かつて稽古場のあった1階は長男一家、2階は自分たちが住み、力士たちが寝起きしていた3階は自分がこれまで獲得したトロフィーや賞状などの一部を飾ったミニ若乃花博物館に仕立て、訪れる知人やファンらに見せるのを何よりも楽しみにしている。どうして展示物が一部なのかというと、主だったものは出身地の青森県弘前市の若乃花博物館に持っていってあるからだ。

 大相撲界を退いたあとの花田さんは、たまに講演などで外出する以外は、散歩と夜の晩酌が日課という悠々自適の生活。
 末弟の二子山親方がガンのために55歳の若さで亡くなり、残された遺産を巡って息子たちによる“若貴確執”が勃発した平成17年5月以降、マスコミとは距離を置いているが、その二子山親方が内臓の疾患などで低迷し、もがき苦しんでいた現役時代、「オレの内臓と取り変えてやりたいよ」と歯ぎしりした頑健な内臓はいまも健在だ。
 つい2昔前まで横綱は長生きしないという“横綱短命論”が大っぴらにささやかれ、それを裏付けるようにライバル栃錦は64歳、柏戸は58歳で死んだ。
 ひょっとすると初代梅ケ谷の83歳という横綱長寿記録を塗り替えるのではないかと言われた鏡里も、5年前に80歳で亡くなっている。夏バテもなんのその。現在、歴代横綱長寿2位の花田さん、こちらの方でも鬼ぶりを発揮している。

◎この夏マスコミに流れた驚きの情報
 この夏、「若乃花、倒れる」という情報が駆け抜け、大相撲界は衝撃を受けた。
 若乃花とは“土俵の鬼”と恐れられた初代横綱若乃花、花田勝治さんのことだ。生存する横綱の中で最長老の81歳。7月に発表された日本人男子の平均年齢である79・29歳を超え、何があってもおかしくない年齢とはいえ、相手があの若乃花だけに驚くだけでは済まない。マスコミ各社はいっせいに万一の場合に備えて原稿、写真などの準備を開始する一方、都内杉並区の花田宅に押しかけた。横綱2代目若乃花や隆の里、大関貴ノ花や若島津ら、数多くの人気力士を輩出した旧二子山部屋である。インターホンを押すと、なんと中から花田さん本人と賢夫人として名高かった香代夫人がそろって顔を出し、「ご覧の通り、オレはまだピンピンしているよ」と笑い飛ばしたという。若乃花重病は偽情報だったのだ。

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